度温①②③⑦⑧⑤ ベイナイト(せん断型主体)ベイナイト(拡散型主体)DP図3 普通鋼のCCT線図と製品のビッカース硬度(横浜国立大学梅澤 修教授による) 須である.単に塑性変形を利用したのではなく,「目的とする形状に造形をしつつ内部組織を適正に制御することで所望の機械的特性を得る熱間加工」を,制御熱間加工であると定義し,以後の話を進める. 図4 CCT線図と様々な制御加工 熱加工履歴による組織変化と,機械的特性の変化を制御することが熱間鍛造加工の目的である.一方で,制御熱間加工では,塑性変形と内部組織変化の相互作用を解明する8)と組み合わせておくことで,鍛造プロセス条件(中間形ことが必然である.相互作用の定量的な解明には,何らかの解析手法が必須であり,先に述べたFEMによる変形解析に加え,内部組織変化を解析する手法7),機械的特性を解析する手法,さらにこれらの解析手法を動作させるための材料ゲノム8)が必要になる. 4.2 材料ゲノム 図5に,熱間加工を利用した材料プロセス開発を,生じている現象と併せて示す8).図には圧延プロセスが描かれているが,鍛造プロセスでも,生じている現象とメカニズム究明のための枠組みは同じである. 加熱炉では逆変態と粒成長が,熱間加工中には硬化,回復(動的,静的),再結晶(動的,静的),粒成長,析出,粒成長が,冷却中には相変化(変態)が生じている.熱間加工プロセス中には複数の現象が同時に生じていることが特徴である.材料プロセス開発のためには,この現象を定量的に解明しておく必要がある.熱間加工シミュレータによる物理シミュレーションによって,予め実験で解明しておくことが基本であるが,一歩進めて,材料プロセス開発のための計算機シミュレーションを,硬化,回復(動的,静的),再結晶(動的,静的),粒成長,析出について組み上げておき,これを材料の熱間組織変化を表す材料ゲノム状を含む造形工程,速度履歴,温度履歴,冷却条件)による内部組織変化の解析を行うことが出来る.計算機シミュレーションに載せておくことで,鍛造プロセス条件の変更の影響を知ることが出来れば,鍛造を用いた材料プロセス開発にとって有効なツールとなり得る. 材料ゲノムとしては,図6に示した普通鋼(C-Si-Mn鋼)についてのデータが利用できる9).ほかの高合金系につい①通常の熱間加工②制御熱間加工(古典的)③制御熱間加工④制御熱間加工+制御冷却⑤オースフォーム(マルテンサイト)⑥改良オースフォーム(マルテンサイト)⑦改良オースフォーム(下部ベイナイト)⑧直接焼入未再結晶温度域マルテンサイト再結晶温度域変態開始変態終了フェライト⑦・⑧⑥・⑧Log [時間]TRIP④:加工- 11 -
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