よるものである。また、短パルスレーザは溶融池の一部に照射されたが、結晶粒の微細化領域は半円形であった。これは、短パルスレーザが直接照射されない固液界面でも短パルスレーザが有効であったことを示す。 各レーザ照射条件における結晶粒の数を測定し、Fig. 9に示す平均結晶粒径を算出した。このグラフから、パルスレーザを照射すると平均結晶粒径が減少し、溶接用レーザの後方1 mmを境界としてパルスレーザを照射すると、平均結晶粒径が著しく減少することがわかる。しかし、溶接レーザの前後で短パルスレーザを照射した場合は、結晶粒の微細化効果は小さかった。結晶粒数の測定領域には、結晶粒が微細化されていない領域も含まれるため、結晶粒微Fig. 8. Polarized optical microscope image of 2024-T3 aluminum alloy irradiated by short-pulsed laser at side (x,y) = (-1,1). Fig. 9. The average grain size for each irradiation position. Fig. 10. Hardness distribution of longitudinal direction on surface irradiated at boundary (x,y)=(-1,0). 細化領域の厳密な平均結晶粒径は小さくなった。例えば、Fig. 7(a)では、微細な結晶粒の粒径は約30 mであった。 レーザ溶接時に境界(x,y) = (-1,0)で短パルスレーザを照射した試験片の溶接金属のビッカース硬さ試験結果をFig. 10に示す。母材の平均硬度は120 HVであった。このグラフから、溶接線に沿って硬度が周期的に上昇・下降していることがわかる。この周期は約1.66 mm間隔であることから、硬度の上昇は短パルスレーザ照射による結晶粒微細化によるものであることがわかる。この結果から、パルスレーザの照射による結晶粒の微細化によって、ビッカース硬度を約5 HV上昇させることが出来ることが分かった。 溶接凝固割れが発生する溶接条件下で、溶接池(x,y) = (-1,0)に短パルスレーザを照射した試験片の顕微鏡写真をFig. 11に示す。これらの画像から、結晶粒の微細化領域では凝固割れの進行が抑制されていることがわかる。これは、結晶粒の微細化により低融点合金相が分散し、応力集中が緩和されたためである。この結果から、短パルスレーザ誘起結晶粒微細化法は、高速レーザ溶接において、結晶粒微細化剤を添加することなく凝固割れを抑制出来ることがわかった。 Fig. 11. Observation of crack end irradiated at boundary (x,y) = (-1,0). - 101 -
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