FORM TECH REVIEW_vol32
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0 2001501005010201000980350°C20°C96094092010201000980230°C370°C360°C94096010201000980960920Wavenumber[cm-1]600°C500°C390°C940920900き応力の無い室温の粉末を起点(▲)とした。しかし、実際にはラマンスペクトルの中心波数は増加傾向であった。これはアパタイト結晶の大きさの増加に伴うラマンシフトとして説明ができる。このようにラマンスペクトルの不対称性、狭帯域化、応力シフトなどから360 ℃で結晶化したことがわかった。このアニール温度は従来の方法では500 ℃でも80 %しか結晶化できなかった方法が、100 ℃以上低いアニール温度でも完全に結晶化できることを示している。同時にこのアニール温度はPLD法で結晶化したアパタイト成膜論文で報告されたもののうち最も低い温度であった。 図13 ラマンスペクトルの中心波数及び半値全幅の基板温度依存性 図12 成膜のラマンスペクトルの温度依存性 4.まとめ インプラント歯、人工膝関節などの補綴材料の骨固着に大きな効果を発揮する結晶性アパタイト成膜にレーザープロセスが最適であると考え、PLD法による成膜の研究を行った。一般的なPLD成膜の方法ではジルコニア基板上において500 ℃のアニール温度でもアパタイト膜の完全結晶化、緻密な成膜が達成できなかった。これはアブ緻密、高純度、高結晶性アパタイト成膜がエクリプス法で実現する結果が得られた。この成膜は生体内で長期に維持されるとともに骨形成を促進すると予想され生体インプラントの骨固着に効果的に働くと期待される。 レーション粒子の内、液滴によると示唆された。液滴による影響を実証するためアブレーションプルーム中の原子状粒子、μmサイズの2種類の粒子の膨張を観測した。その結果、結晶化が最適な条件である0.15 Torr以上では原子状粒子の膨張が抑制され、相対的に液滴の比率が高くなることがわかった。つまり、液滴を除外して成膜を行うことで低温度での結晶化が可能なことがわかった。この結果を受けて液滴除去が幾何学的にできるエクリプス型PLD法での成膜を行った。この液滴を排除した成膜では360 ℃のアニール温度で緻密、高純度、高結晶性の膜を実現できることをラマン分光により実証した。この温度は従来の成膜と結晶化を同時に行う方法と比較して100 ℃近い温度低下を可能にした。また、高温度化することでラマンスペクトルの狭帯域化から結晶性が向上した結果が得られた。今後、この方法で作成したアパタイト膜は生体内で骨形成を促進すると予想されるため、骨固着を要する生体用インプラントへの応用が期待できる。 - 95 -AmorphousCrystalunder 350℃360 ~ 370℃over 390℃

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