FORM TECH REVIEW_vol32
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-TCPH2OH2O-TCP Annealing temperatureHighH2O gas pressureVacuumImage of hydrolysis to hydroxyapatiteH2OH2OLowHigh-TCPHApHApPlasmaemission- 93 -Vacuum0.05Torr0.20Torr0.30Torr0.10Torr0.50Torrする結果となった。この結果は図5に示すように真空からH2Oガスの圧力上昇で加水分解が生じ、圧力が0.15 Torr付近で最大の比率となり、それ以降では比率が減少した。 図5 成膜物質中のアパタイト結晶の比率 図3のアニール温度の上昇でのアパタイト比率の上昇、図5の加水分解でのアパタイト比率の上昇、0.15 Torr以上のアパタイト比率の減少は図6の加水分解のモデルで考えることができる。アブレーション粒子のうち、最小の原子(イオン)から最大の1 μm径程度の液滴まで放出され基板に付着する。真空の場合、加水分解が生じないためアパタイトへの変化は全く無い。H2Oガス圧力の上昇とともに加水分解が生じアパタイト比率が上昇する。付着した粒子は表面からH2O分子と反応する。高温度では反応速度が速く内部まで拡散し加水分解が進む。そのため、アニール温度が高い場合、アパタイトの比率が大きくなる。一方、H2Oガス圧の上昇により原子の膨張が制限され、完全にアパタイトへ変化する粒子の比率が下がる。一方の液滴は圧力依存性がほぼ無視でき、圧力上昇に伴う付着粒子中の液滴の比率が相対的に上昇しアパタイトへと変化する物質が減少する。液滴として付着した粒子も表面から加水分解を生じアパタイト結晶へと変化するが、完全に変化する前に後続の粒子により覆われH2O分子の供給が制止され、完全にアパタイト結晶へ変化しなかったと考えられる。 ACPLow図6 成膜物質の加水分解による変化 ン粒子の付着が成膜のアパタイト結晶化に大きく影響を与えていることが示唆される。つまり、原子だけで成膜を行うことができれば、付着したアブレーション粒子は低いアニール温度で完全にアパタイト結晶として成膜することができる。この推察が正しいか、発生するアブレーション粒子の内、原子と液滴の粒子のアブレーションプルームの膨張の可視化を行った5)。 アブレーション粒子の内、励起原子、イオンの可視域の発光の大部分はCaⅠ, CaⅡのスペクトル線であった。図7は時間積分で撮影した励起原子(イオン)の膨張の様子である。写真の様にH2Oガス圧力変化に依存して大きくプルームの形状が変化した。つまり、0.15 Torr以上の圧力でプルームの膨張が制限されていた。また、励起原子の発光の時間、空間分解の測定にはフォトマルを用い、発光の信号からプルームの先端の到達時刻の測定を行った。 一方、液滴自体は光らないため、可視化のプローブ光としてアブレーションレーザーより遅延させたNd:YAGレーザー第2高調波(波長:532 nm、パルス幅:10 ns)をプルームに照射し粒子によるミー散乱を観測することで時間、空間分解でプルームの膨張を観測した。図8に30 μs後の散乱像を示す。この様に圧力を変化させた場合でも液滴は全く像が変化せず、膨張に制限かかからない結果が得られた。 3.アブレーション粒子の可視化による検証 原子から液滴まで幅広い粒度分布を持つアブレーショ図7 プルーム中の励起原子の発光 図8 プルーム中の液滴の膨張 mVacuum0.075Torr0.25Torr30mVacuum0.025Torr0.01Torr0.10Torr0.15Torr0.30Torr0.40Torr0.05Torr0.20Torr0.50TorrDelay 30 s

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