]. .br[ ytisnen0UAtI 図3 成膜物質中のアパタイト結晶の比率 1.21.00.80.60.40.2-0.2102010009800Torr0.50Torr0.10Torr0.30Torr0.20Torr0.15Torr0.05Torr960940920Surface temperature 500 ℃Raman shift [cm-1]ターゲットに加水分解でアパタイトに変化するβ-TCP(3リン酸カルシウム)の圧縮焼結体を用い、H2Oガス中で成膜する方法で行ってきた。図1(上)にPLD法による成膜の実験装置の外観を示す。アブレーションレーザーにはNd:YAGレーザー第4高調波(波長:266 nm、パルス幅:10 ns、繰り返し周波数:10 Hz)を用い、45度の入射角でターゲット材料に照射した。この時の照射径は2x3 mmの楕円状で、集光強度は約4 J/cm2に相当する。アブレーション粒子として放出されたβ-TCPは、アモルファスCaPもしくは高温型のα-TCPを経て加水分解後にアパタイト結晶へ変化する。成膜用の基板には3 molのイットリアを添加した安定化ジルコニアを用い、成膜面は光学研磨した。ジルコニア基板の中心はレーザー照射位置からターゲットの法線方向の中心、距離25 mmの位置に図のように設置した。成膜用チェンバー内のアニールにはcw-CO2レーザーを用いてジルコニア基板ホルダーに照射することで加熱を行った。加水分解のためH2Oガスは1 Torr以下の設定圧力(±5x10-4 Torr)で導入した。アニール温度はCO2レーザーの出力を調整し(±2 ℃)行った。ターゲットは面内方向に2次元に移動させ、アブレーション位置を変化させずにラスタースキャンを行い、同じターゲット位置に連続照射しないように照射した。図1(下左)に1時間の成膜表面の写真、(下右)にSi上の10 秒の成膜結果を示す。写真の様に成膜は多孔質状で、成膜物質の大部分は液滴からなっていることが分かる。成膜物質の評価には顕微ラマン分光、X線回折の2通りの方法で行った。(本文中ではラマン分光の結果のみ記載する。) 顕微ラマン分光の測定結果より、400 ℃以上のアニーリングを行った場合、アパタイトとα-TCPの2種類が混在する結果が得られた。ラマン分光におけるPO4振動由来のラマンスペクトルは950 cm-1付近の波数に観測され、アパタイトでは単一のスペクトル、 α-TCPでは4本の特徴あるスペクトル群となる。この形状の違いを予めアパタイト、α-TCPの重量比の異なる標準粉末で較正試料を作図2 成膜のラマンスペクトル温度依存性 成し、成膜物質のラマンスペクトルを分離し、アパタイトの重量比に対する強度比率の較正曲線を作成した。X線回折では同様に混合した標準試料のスペクトルを分離し各々の物質由来のスペクトルの角度の強度比を重量比に対する強度比から較正曲線を作成し、成膜物質のX線回折のスペクトル線から重量比を求めた5)。 H2Oガス圧0.1 Torrに固定しアニール温度を変化させた場合の成膜物質のスペクトルを図2示す。温度上昇につれてアモルファスCaPのスペクトル幅の広く中心波数の異なるスペクトルから、α-TCPの多数のピークを持つスペクトル、その後アパタイトの単一スペクトルに変化していることが分かる。較正曲線による評価結果から温度上昇に伴い図3のようにアパタイト結晶の比率が上昇していることが分かる。一方、500 ℃のアニール温度でも完全なアパタイト結晶への変化は得られなかった。 アニール温度を500 ℃と固定した場合のH2Oガス圧力の依存性を図4示す。同様に圧力上昇に伴いα-TCPを含むスペクトルから単一に近いスペクトルへと変化し圧力上昇に伴いさらにα-TCPを多く含むスペクトルへと変化 図4 成膜のラマンスペクトル圧力依存性 - 92 -
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