写写真真位位置置 削削除除ししなないいででくくだだささいい 1hour10 seconds屋代 英彦 らない機能回復がなされている。例えば、歯科ではインプラント歯、整形外科では、膝や股関節の人工関節などである。これらのバイオマテリアルは長年研究され、機械強度と生体適合性が高い純Ti、Ti合金、CoCr合金等が多く利用されている。しかし、弱い磁性材料の純TiでもMRI画像診断などではアーチファクトが生じる1)。これは人工膝関節置換手術後の関節周辺の筋肉、腱などの軟部組織の術後の回復の観測を困難にする。また、希に金属アレルギーの発症が生じる。歯科においては埋植後のインプラント歯では天然歯よりも歯周病になる可能性が高く、歯周病による歯肉短縮に伴いインプラント歯が透けて黒く見える審美性の問題も指摘されている。この様な点からTiを別の生体材料で置き換えることが検討され、硬度、靭性等の機械強度に優れ生体適合性、審美性も高いジルコニアセラミックスが最適な候補と考えられている。しかし、ジルコニアはその特性ゆえに難加工材料であり、一般的にTiに比べて骨伝導性に劣るため限定した利用に留まっている。我々はこれらの課題解決にはレーザープロセスが最適であると考えている。その1つ目は超短パルスレーザーの連続照射によるジルコニア表面のナノ周期構造の表面加工2)、2つ目は骨、歯の成分であるハイドロキシアパタイト(以下:アパタイト)のレーザーアブレーションによる成膜である。 これまで、人工関節などの補綴材料の骨固着にはアクリル樹脂の骨セメントが使われてきた。しかし、副作用として急激な血圧低下によるショック症状、塞栓症などで死に至る重篤な副反応があった。骨セメント自体による毒性なども問題視されて、使用しない骨固着が望まれてきた。このため、骨の成分であるアパタイトをインプラント表面に成膜することで、生体内で骨形成を促進し骨固着させるセメントレス方式が主流になってきた。生体骨はアパタイト表面に形成をされ、体内の骨同様にアパタイト膜は破骨細胞に溶かされ、骨芽細胞によって骨形成がなされる。最終的にはインプラント表面の凹凸に隙間なく骨形成されアンカー効果で固着するオッセオインテグレーション3)と呼ばれる状態となる。この現象はTiやジルコニアなどの生体適合物質だけで生じる事が知られている。アパタイト1.まえがき 健康年齢の長寿命化とQOL(Quality of Life)の向上から、失われた身体の一部を人工補填物で補い、以前と変わ成膜には様々な方法が検討されているが、プラズマ溶射が主流で使われてきた。10 µm程度の3リン酸カルシウム粉末をプラズマ中で溶融し高速度で吹き付けるため、均一の膜厚を得るのには50 µmと膜が厚くなるとともに多孔子状になる。厚い膜は生体内での骨固着力の減少につながり4)、多孔子構造は硬度、密着性の低下を生じる。この成膜の欠点はインプラント歯では埋植後に剥離から発生する炎症を生じ易く、骨固着を返って阻害する。そのため、現在でもTiインプラント歯ではアパタイト成膜の無い製品が主流である。また、プラズマ溶射による成膜はアパタイト結晶性に乏しく、後処理として水熱処理を行う必要がある。この様な欠点を克服するには緻密、高純度、高結晶性、高密着性のアパタイト成膜を実現する必要があり、その場で結晶性成膜が可能なPLD (Pulsed-Laser Deposition)方式が最適であると考えている。本文では産総研で行ってきたPLD方式の成膜研究で得られた研究成果5-7)、並びにその成膜方法に関して記述する。 2.従来のPLD法による実験方法と結果 PLD法によるアパタイト成膜はCotellらによって最初に報告された8)。紫外光のnsのパルスレーザーをアブレーションレーザーとし焼結アパタイトターゲットに照射し、同時に放出される粒子をArもしくはArとH2Oの混合ガス中でアニールする方式で行われてきた。産総研では図1 実験装置図 1100mm- 91 -PLD法による高機能性ハイドロキシアパタイト成膜
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