)LmUFC((数数菌菌細細存存生生図6 過飽和液中レーザー照射によりフッ素含有アパタイトを成膜した象牙質基材の表層断面の(左)TEM像、走査型TEMによる(中)高角散乱環状暗視野(HAADF)像および(右)EDXフッ素マッピング像11)F/*F 図7 過飽和液中レーザー照射によりフッ素含有アパタイトを成膜した象牙質基材および未成膜基材の共存下で12時間培養後の生存細菌数(n = 4, * p < 0.05)11) ICG併用過飽和液中レーザー照射によりフッ素含有アパタイトを成膜した(左)象牙質基材および (右)エナメル質基材の表層断面のTEM像3,12) 図8 1 μmHAADF1 μm1 μm射域近傍の溶液を加温しつつアブレーションされる。アブレーションにより露出した象牙質アパタイトを足場としてフッ素含有アパタイト結晶が析出し、照射3分後には、長さ1 μmを超える柱状結晶へと成長する(図9右)。この成長過程における結晶の幾何学的選別作用によって、基材表面に対し概ね垂直方向にc軸配向した柱状結晶の集合体からなる生成膜となる。 材の表面にフッ素含有アパタイトを成膜できることが分かった。本成膜技術は、ヒト象牙質基材だけでなく、ヒトエナメル質基材に対しても有効であった(図8右)3)。現在、ヒトセメント質への成膜についても確認中である。 歯面改質のためのCaP成膜技術には、歯科医が通常の診療時間・設備で実施可能な迅速・簡便性に加え、歯面の標的領域のみに成膜可能な部位選択性が求められる。本稿で紹介した過飽和液中レーザー照射法はこれらの要件を満たすことから、歯面を保護・高機能化するための新たなツールとしての応用が期待される。 未未成成膜膜フフッッ素素含含有有アアパパタタイイトト成成膜膜であり、象牙質基材と隙間なく接合・一体化していた(図6)。電子線回折法による分析の結果、柱状ナノ結晶は、基材表面に対し概ね垂直方向にc軸配向したアパタイト結晶であった。この配向構造は、結晶成長過程における幾何学的選別作用によると考えられる。以上の分析において、象牙質基材の内部には、レーザー光照射による顕著な構造・組成変化は認められなかった。また、抗菌試験の結果、象牙質基材の表面に生成したフッ素含有アパタイト膜も、Streptococcus mutansに対し抗菌性(増殖抑制効果)を示すことを明らかにし(図7)、本成膜法による歯面の抗菌化を基礎的に実証した。 筆者らは近年、Nd:YAG レーザーに替えて、歯科臨床で使用されている半導体レーザー(808 ± 10 nm、連続波)を用いた検討も進めてきた。このレーザー光波長では、歯質によるレーザー光吸収性が人工バイオミネラリゼーションの誘導に不十分であったことから、800 nm付近に最大吸収を持つ医薬品(造影剤)インドシアニングリーン(ICG)を、光吸収剤として象牙質基材の表面に塗布した。ICGを塗布した基材の表面に、フッ素(1 mM)添加過飽和溶液中で歯科用半導体レーザーを3分間照射したところ、照射域におけるフッ素含有アパタイト膜の生成を確認した(図8左)12)。生成したフッ素含有アパタイト膜は1 μm強の厚みを持ち、Nd:YAG レーザー照射による生成膜(図6)と同様、基材表面に対し概ね垂直方向にc軸配向した柱状ナノ結晶からなり、下地の象牙質と隙間なく接合・一体化していていた(図8左)。走査型TEM-EDX分析において、生成膜の内部および象牙質との界面にICG の成分元素(S)は検出されなかったことから、基材に塗布されたICG層はアブレーションによってほぼ消失したと考えられた。なお、基材へのICG 塗布工程を除くと、膜生成は認められなくなった。 以上の結果から推定される、ICG併用過飽和液中レーザー照射法における人工バイオミネラリゼーションの反応過程を図9に示す。照射前の基材表面には、予め塗布されたICG層が存在する(図9左)。過飽和液中レーザー照射下、このICG層がレーザー光を吸収し、照射域および照ICG併用過飽和液中レーザー照射法によれば、わずか3分という極めて短時間のレーザー光照射よって、象牙質基フフッッ素素含含有有アアパパタタイイトト象象牙牙質質フフッッ素素含含有有アアパパタタイイトト象象牙牙質質フフッッ素素含含有有アアパパタタイイトトエエナナメメルル質質1x 10101.0E+101x 1091.0E+091x 1081.0E+08Control- 60 -1 µm1 µm象⽛質基材エナメル質基材
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