写写真真位位置置 削削除除ししなないい ででくくだだささいい 図1 過飽和液中レーザー照射法の模式図 図2 過飽和液中レーザー照射法によりアパタイトを成膜したPEEK基材表面(照射域(左)、境界域(中)、非照射域(右))の走査電子顕微鏡(SEM)2) CaP- 58 -1 mm5 µmPEEKApatite layer5 µm1.まえがき 2.過飽和液中レーザー照射法 大矢根 綾子 過飽和溶液法では、CaP過飽和溶液中で目的とする基ミミネネララリリゼゼーーシショョンンママススクク材の表面で人工バイオミネラリゼーションを誘起さ((孔孔径径5mm)せる。 過過飽飽和和溶溶液液基基材材アアパパタタイイトトザー光非照射域に影響を与えることなく(図2右)、照射域のみ選択的に成膜を行うことができる。 過飽和液中レーザー照射法によって得られるアパタイト膜の細胞親和性を調べるため、アパタイト未成膜および成膜後のPEEK表面に骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を播種し、7日間まで培養を行った。水溶性テトラゾリウム塩による比色定量の結果、PEEK基材へのアパタイト成膜によって細胞の増殖が有意に促進されることを確認した(図3左)2)。この結果は、培養7日後の各基材表面の細胞核染色像(図3右)からも裏付けられる。以上より、本法で形成されるアパタイト膜も、良好な細胞親和性を示すことが確認された。 過飽和液中レーザー照射法における人工バイオミネラリゼーションの反応過程は次のように説明される1,2)。まず、基材がレーザー光を吸収し、表面粗さの増大、表面官能基の導入、水濡れ性の増加(図4左)といった表面構造変化を起こすことで、CaP析出に有利な表面環境を形成すレレーーザザーー光光人人工工ババイイオオアアパパタタイイトトヒトの硬組織(歯や骨)を構成する主な無機鉱物(バイオミネラル)はリン酸カルシウム(CaP)結晶の一種、アパタイトであり、アパタイトに対して過飽和な体液中で合成される。このような、生物によるバイオミネラルの合成反応はバイオミネラリゼーションと呼ばれる。アパタイトをはじめ、β型リン酸三カルシウム、リン酸八カルシウムなどのある種のCaP結晶は、優れた生体親和性と骨伝導性を示すことから、人工骨や骨再生用材料の素材、金属製インプラントの表面改質剤などとして臨床応用されてきた。 金属製インプラントへのCaP成膜技術としては溶射法などの高温プロセスが主流であるが、体液に類似のCaP過飽和溶液中で基材表面にCaPを析出させる成膜法「過飽和溶液法」が、生体バイオミネラリゼーションに倣った温和なCaP成膜法として注目されている。過飽和溶液法によれば、有機高分子などの低融点基材にもCaPを成膜できるほか、天然バイオミネラルに類似した構造・組成を有するアパタイトを合成することもできる。ただし、従来の過飽和溶液法は一般に、複雑かつ長時間の工程を必要とし、実用性に劣っていた。 筆者らは近年、過飽和溶液法にレーザー照射プロセスを導入することで、迅速・簡便、かつ部位選択的なCaP成膜技術「過飽和液中レーザー照射法」1)を開発した。以下に、この技術の概要と、歯面改質応用に関する最近の研究成果を紹介する。 過飽和液中レーザー照射法は、過飽和溶液中でのCaP析出・成長反応(人工バイオミネラリゼーション)を、レーザー光によって誘起・加速する技術である1)。例えば、金属材料に替わる次世代インプラント材料として注目されているポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基材に対しては、CaP過飽和溶液(pH = 7.40, 25℃)中でNd:YAGレーザーの非集光ビーム(355 nm, 30 Hz, 2 W/cm2)を30分照射するだけで(図1)、照射域にアパタイトを成膜することができる(図2左)2)。従来の過飽和溶液法で必要とされる複雑な前処理も、過飽和溶液への長時間の浸漬工程(通常1日~数日)も必要としない。また、同基材のレーEVOH基基材材⾮照射域過飽和液中レーザー照射による リン酸カルシウム成膜技術と歯面改質応用 照射域
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