FORM TECH REVIEW_vol32
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4. 結言 図9 通常管およびRTCAP加工管の応力ひずみ線図 3.4 PTCAP加工による液圧成形性への影響 液圧成形性の変化を調査するため,液圧バルジ試験を行った.液圧バルジ試験は管材の両端を固定しない両端自由を採用し,破断まで内圧を上昇させた.As材とPTCAP加工後に1373 Kで3時間熱処理したニオブ管で試験を行った.両者の拡管率はそれぞれ9.9 %,21.1 %となった.PTCAP加工によって拡管率は2倍近くまで上昇し,液圧成形性の向上が得られた. 試験後の破断部および外観写真を図図1122に示す.両管ともにリジングと呼ばれる軸方向に平行なしわが観察されて,破断はリジングのしわに沿って発生している.しかし,破断までの拡管率は明らかにPTCAP材の方が高く,液圧成形性への効果が確認された. 図12 (a)通常管および(b)PTCAP加工した管 本研究では高純度ニオブ管についてPTCAP加工による液圧成形性の向上について調査を行った.その結果,以下の結論が得られた. (1) PTCAP加工によって組織に加工と同一方向に不均一な変形であるせん断帯が発生し,硬さが向上した.このせん断帯はニオブの加工硬化特性の低さに起因しており,ニオブでは起こりにくい再結晶の核となる.その後の熱処理によって1373 Kで再結晶が確認され,等軸で均一な再結晶粒が得られた. (2) 結晶方位測定によって優先方位が確認できた.加工前では強くなかった{321}/ND,{111}//ND方位が加工後,熱処理後に強くなった.結晶方位の変化として加工後に発生したせん断帯の影響が示唆された. (3) 加工後に再結晶させた試料の機械的性質を調査したところ,液圧成形に起因するn値,r値がともに向上していた.n値は均一な再結晶粒により,r値は方位制御による改善であった.特にr値は平均値(a)長軸方向, (b)円周方向 図10 通常管およびRTCAP加工管のn値の比較 図11 通常管およびPTCAP加工した管のr値の比較 の液圧バルジ試験後の外観写真 - 51 -

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