FORM TECH REVIEW_vol32
50/108

写写真真位位置置 削削除除ししなないい ででくくだだささいい 1.まえがき 宮本 博之 図1 PTCAP加工のニオブ管の座標定義 図2 実験方法の全体流れ 向上させることを目的とした. 2.実験方法 供試材として高純度ニオブインゴットを鍛造したものを使用した.鍛造後,ワイヤーカットによってシームレスの高純度ニオブ管を切り出した.高純度ニオブ管は切り出し後,1373 Kで焼きなまし処理した. PTCAP法には供試材から外径50.8 mm,肉厚1 mm,長さ70 mmを切り出した.PTCAP加工前の試験片をAs材とし,試験片の方向を図図11のように定義した.PTCAP加工後の試験片をPTCAP材とする.液圧バルジ試験にはAs材として供試材から外径43 mm,肉厚1 mm,長さ63 mmを切り出した.試験片の方向はPTCAP法の管材と同様とする. 本研究の工程の概略図を図図22に示す.PTCAP加工を施した試験片に熱処理を行い,引張試験,ビッカース硬さ試験,XRD解析,EBSD測定を行った.PTCAP加工された高純度ニオブ管とされていない管材について液圧バルジ試験を行った. 高エネルギー加速研究機構(KEK)が主体となる次世代型直線衝突加速器「国際リニアコライダー(ILC)」計画では数万個が連結された高純度ニオブ製の超伝導加速空洞が使用される1).この超伝導ニオブ空洞はこれまで板からプレス加工により椀状の半セルに成形して,向かい合わせた1組の半セルを電子ビーム溶接(ERW)により単一セルを作製して連結させていく製造が検討されている.しかし,この方法では生産性の低さと莫大な製造コストが課題となっている.そこで,長尺のニオブ管から液圧成形によりセル連結体を一機に製造する方法が検討されている1). ニオブは変態点をもたないBCC金属であり,不均一組織が残留しやすく,これが原因と考えられる成形性不足が問題となる.特にリジングと呼ばれる成形時に生じる圧延方向のしわ状の欠陥が問題となる場合が多い2).組織の不均一性はコロニーと呼ばれる類似の結晶方位を有する結晶粒群が存在し,その不均一変形により発生するものと考えられている3).コロニーが形成される原因としては,変態点を持たないこと,BCC構造であるので,回復が早く,再結晶の駆動力である転位エネルギーを減少させて再結晶を起こりにくくするためである4).さらにニオブは高融点でありながらヤング率が鉄の半分であり,加工硬化性が低いため成形性が低い5). 近年,強ひずみ加工(SPD)によりせん断帯を導入することで再結晶を促進してリジングを低減させた例が報告されている6).具体的には熱延板をSPDの1種であるECAPを1パスのみ加工して,加工組織に再結晶の駆動力となるせん断帯を高密度に導入して,再結晶を促進して,板の成形性の指標であるr値とリジング性を改善している6,7). 一方,金属管についてもSPDの1種であるTube channel pressing (TCP)の加工をフェライト系ステンレス鋼管に対して1パスのみ加えて,その後の熱処理によりリジングと成形性が改善された8).TCP法は高い加工力が必要なことが課題であり,加工力の低減を目的にParallel tubular channel angular pressing (RTCAP) 法と呼ばれるECAP法を管材用に適用した手法が考案され,金属管に対する結晶粒超微細化の効果が報告されている9). そこで,本研究ではニオブの管材にRTCAP法を適用して集合組織を制御することでリジングを軽減させ,成形性を- 48 -強せん断変形によるニオブ管の金属組織改善と高成形性化

元のページ  ../index.html#50

このブックを見る