FORM TECH REVIEW_vol32
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図8 成形温度別の樹脂鋳型形状比較 図10 樹脂鋳型 表2 樹脂鋳型ホットエンボス条件 図8はPEEKおよびPFAに対して成形温度を変化させた際のマスター型と樹脂鋳型の形状の差を比較したものである.測定にはNH-3SPを,形状評価にはTalymap Plutinum(Ametec/Taylor hobson社製)を使用した.エンボス荷重はシリンダ空圧0.5MPa=402Nで一定とした.PEEKの場合は250℃,PFAの場合は230℃以上でマスター形状と近似した形状が得られたが,これらの温度よりも低い温度では転写深さが小さくなる結果となった. 次に,図9は成形荷重を変化させた際の樹脂鋳型の形状を比較したものである.成形温度はPEEK=270℃,PFA=250℃で一定とした.PEEKの場合,0.5MPa=402N,0.6MPa=483Nの条件では,マスター型との差は小さいが,0.4MPa=322Nの条件では,転写深さが小さくなる傾向となった.一方,PFAの場合はいずれの条件においてもマスター型との差は小さいことが確認された.これは荷重たわみ温度がPEEKに比べて小さいことに起因していると考えられる. これらの結果より,マスター形状に最も近い結果が得られたPEEK;成形温度270℃,成形荷重483N,PFA;成形温度250℃,成形荷重483Nを最良の樹脂鋳型成形条件とし,それぞれの鋳型を用いた中空マイクロニードルアレイ成形実験を実施した.図10はそれぞれの鋳型の顕微鏡写真を示している. 3.3 中空マイクロニードルアレイの成形 表3にPLA(Nature3D社製)を用いてマイクロニードルアレイを成形した際の条件を示す.なお,PLAはペレット状のものであり,成形の前処理として80℃にて2時間以上乾燥させて使用した.溶融温度は200℃とし,離形温度を変化させることにより,ニードル形状を比較・評価した.成形方法は図11に示すように(a)ペレットを溶融し,(b)その状態でPLAを治具(平板アタッチメント)で押込み70℃まで冷却・押込み開放,(c)治具を取り外し,180℃まで加熱後再度マイクロニードルマスター型にてホットエンボス加工,という流れである.これらのプロセスを経て,中空マイクロニードルアレイの成形を試みた. まずは,中空部を成形する前に中実のマイクロニードルアレイを成形することによって離形温度の最適化を図った.図12はPFAの樹脂鋳型において,離形温度を変化させて樹脂鋳型からニードルを離型した際の顕微鏡写真である.PEEK樹脂鋳型においても同様の実験を実施したが,離形性が悪くいずれの条件においても成形不良となった.したがって,以降の実験はPFAの樹脂鋳型をもちいて実施した.PLAの軟化点温度は70~80℃であるが,その近傍の条件で離型したものは良好な離形性を示した.一方,90℃以上の条件で離型したものに関しては,鋳型側にPLAが残存,もしくは針先端が引っ張られるような形となるなど,成形不良が発生する結果となった. この結果を踏まえ,中空部分の成形を実施した.180℃まで加熱し,再度マスター型をホットエンボスすることによって中空部分を成形した.図13は中空部を成形する際 PEEK PFA (Cylinder air pressure[MPa]) Z-axis feed amount[mm] - 45 -(a)PEEK (b)PFA (a)PEEK (b)PFA 図9 成形荷重別の樹脂鋳型形状比較 (a)PEEK (b)PFA Plastic size[mm] m.p.[℃] Tg[℃] Molding Temperature[℃] Release Temperature[℃] m.p.[℃] Tg[℃] Molding temperature[℃] Release temperature[℃] Embossed load[N] 230℃ 250℃ 270℃ 100μm 322N 402N 483N 100μm PEEK,PFA φ30×5 340 180 230,250,270 140 310 150 210,230,250 140 322,402,483 (0.4,0.5,0.6) 1.5 230℃ 250℃ 270℃ 100μm 322N 402N 483N 100μm

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