写写真真位位置置 削削除除ししなないい ででくくだだささいい ②樹脂鋳型の成形 図1 本研究で開発した中空マイクロニードルアレイ製造工程の概要 在川 功一 1.研究の目的と背景 近年の薬剤学・材料工学・加工技術のさらなる進歩にともない,新たな投与技術や治療・診断技術が開発され臨床の場で使用されつつある.「マイクロニードル技術」はそれら多くの新しい技術の1つであり,従来注射針を使用する治療や診断の際の「痛み」や「手技の煩雑性」などの課題を解決しうる方法として注目されている.マイクロニードルは先端直径が1~25μm,底面直径と高さのアスペクト比1以上の円錐形状であり,薬剤供給効率の関係から単独での使用が想定されることは少なく,集合体である「マイクロニードルアレイ」としての使用が想定されている1). マイクロニードルアレイに関しては,国内外の大学,製薬企業において研究開発が進んでいるものの,医薬品分野では皮膚内折損による体内留置のリスクや大量生産が困難などの課題がある.また,化粧品分野においてもヒアルロン酸含有ニードル等,一部美容用途として実用化には至っているものの,医薬品分野と同様,大量生産が困難な課題や,形状精度のばらつきが大きく穿刺性能や,薬剤供給効率が低下しやすいなどの課題がある.したがって,安価で高精度なマイクロニードルアレイの製造技術が必要とされている. 従来のマイクロニードルアレイの製造方法としては,以下のようなものが挙げられる. ①フォトリソグラフィ法2)(金属製中実ニードル) ②引き上げ・引き下げ法3)(樹脂製中実ニードル) ③射出成形法(樹脂製中実ニードル) 金属製中実ニードルを製造する,フォトリソグラフィ法はエッチングによる形状精度の低下やクリーンルーム等の設備コスト増大など,製造コストの高騰が課題となっているほか,折損による体内残存のリスクも挙げられる。一方,樹脂製中実ニードルを製造する,引き上げ・引き下げ①マスター型の製作 法では形状精度のバラツキ,射出成型法では針先端を鋭利に成形することが困難な問題などが挙げられ,従来技術ではマイクロニードルアレイを高精度・低コストで製造することは困難である. また,中実マイクロニードルアレイでは針表面に塗布またはコーティングされた薬剤のみが供給されるため,薬剤の供給量不足が課題となっている.そこで本研究ではホットエンボス技術に着目した.所望のマイクロニードルアレイと同形状のマスター型を放電加工にて制作し,PEEK等の樹脂鋳型などにその形状を熱転写することによって,ニードルアレイを成形するだけでなく,ニードル成形後に再度ホットエンボスすることによって中空マイクロニードルアレイの成形を実施した.これによって,高精度かつ低コスト,そして薬剤の供給量も向上可能な量産化技術を開発することを目的とした. 2.実験方法 図1は本研究で開発する中空マイクロニードルアレイ成形工程を示したものである.このように①マスター型の製作,②樹脂鋳型の成形,③中空マイクロニードルアレイの成形という3工程を経て成形した. 2.1 放電加工によるニードルマスター型製作 図2に実験に用いた放電加工機(EA8PV-ADVANCE;三菱電機製)の外観を示す.放電加工は絶縁性の加工油に電極と被加工物を浸漬して加工するが,本加工機では,温度変化の影響を避けるため,加工油の温度は±1℃で調整されている.本研究では,電極材としてグラファイトに銅を含浸させた材料(以下,銅グラファイト)を使用する.銅グラファイトはグラファイトの快削性に加え,銅特有の高い電気伝導率を有する新しい放電加工用電極材である.ニードルマスター型は円錐形状の集合体であるため,電極形状③中空マイクロニードルアレイの成形 - 42 -ホットエンボス加工による 中空マイクロニードルアレイ成形技術の開発
元のページ ../index.html#44