FORM TECH REVIEW_vol32
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(b) 往復回転 振動 回転 モーターによる回転 充填圧力樹脂ヒーター 7.微細中空針の成形加工(研究の進展) 前章までに天田財団の助成により行った,PLA中空針とその回転穿刺デバイスの研究開発の結果の紹介をした.助回転吸着あり 図10 各被験者の痛み(NRS値) 回転吸着あり 成後の中空微細針に関する研究・開発の進展について,2つのトピックについて紹介する. 7.1 インサート成形による2本組針の成形10) 前章までは蚊の針の回転について着目したが,以下さらに詳しく蚊の穿刺メカニズムについて述べる.蚊の針は1対の小顎,1対の大顎,1本の咽頭,1本の上唇を,下唇と呼ばれる鞘状の器官で包み込み,束状にまとめた構造になっている(図12).両脇の2本の小顎を,互いに時間的位相差を持たせて協調的に振動させながら皮膚内を進行することで穿刺抵抗を低減させている 11).ギザギザ状の突起は銛形状をしており,押す際は切刃となり,引き戻す際は足場となる.それに加え,蚊は口針とそれを支える鞘状の下唇を逆方向に往復回転させている.下唇は口針を包んでそれらを座屈しないようにするとともに,この回転運動で皮膚との間に摩擦力を発生させ,皮膚の窪みを防止している(図13). この運動を同時に行い,蚊の穿刺方法を取り入れた携帯型デバイスを作製するため,カム機構を採用した(図14).カム溝を針の進行方向に対し傾けて設けることにより,針の回転に従って針が前後に運動する,この針を往復回転さ従来穿刺 従来穿刺 図11 採血結果 大顎 上唇 上唇 小顎 (a) 交互振動 図14 カム機構を取り入れた穿刺デバイス 上熱板上型下型下熱板(a)先端部分(3D造形により作製) 図17 インサート成形した針(根元部分は射出 成形で作製し金型内で先端部と結合) 下唇 小顎 咽頭 (a) 模式図 (b) SEM画像 図12 蚊の針の構造 図13 蚊の穿刺メカニズム プランジャー図15 インサート成形プロセス (b) 型への組み込み後 図16 先端部分の金型への組み込み 500 μm 500 μm (a)先端部分設置保圧(d)冷却,保圧(b)樹脂投入,型締め.加熱(e)型開き(c)射出(f)成形物の取り出しヒートクール法の適用20 μm - 31 -5 mm 2 mm

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