4.電界性能試験結果 (a) Wah -Chang製ニオブパイプ (b) アルバック製ニオブパイプ 図6 完成した液圧成形ニオブ空洞 電界性能試験とは,加速空洞がどの程度,粒子を加速できるかを調べるものである.液体ヘリウムを満たしたデュアーに真空引きした空洞を浸漬し,超伝導状態にする.さらに空洞内部に約1.3 GHzのマイクロ波を入力し,どの程度高い電場が立つかを調べる.空洞の性能は加速勾配(単位:MV/m)で表される.これは単位長さあたり,どの程度,荷電粒子を加速することができるかを示す.この値が大きいほど加速性能が優れている.アルバック製パイプを用いて製造した1セル空洞の試験結果を図7に示す.最大加速勾配は40 MV/mに達し,加速空洞として使用できることを確認した.3セル空洞は27 MV/mである.Wah -Chang社パイプを使った1セル,3セル空洞はそれぞれ36 MV/m,32 MV/mである5).図1に示した空洞の標準的な値(目標値)は35 MV/mである.液圧成形後の内面が肌荒れしたので,1セル空洞はバレル研磨により平滑化した.3セル空洞は製造工程を簡素化するためにバレル研磨の省略を試みた.従来工法で製造した空洞に対して行っているのと同じ100 µmの電解研磨を行い,熱処理後に仕上げの15 µmの電解研磨を施した.空洞の内面の様子を図8に示す.表面粗さは9.1 µmRaである.通常の電解研磨後の表面粗さは0.1 µmRa程度なので,かなり荒れた面であることは明らかである.このような荒れた内面形状で加速空洞として使用できるのは,非常に驚くべきことである. 図8 電解研磨後の3セル空洞内面の様子 図7 電界性能試験の結果 - 12 -5 mm
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