FORM TECH REVIEW_vol32
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3.空洞の製造 ローラ 3.1 予成形と液圧成形 予成形と液圧成形の工程を図2に示す.図は3セル空洞の場合を示している.まず,パイプが液圧成形の金型に入るように予成形を行う.図3に示すネッキング加工機を用いてアイリス部にくびれを成形する.ニオブパイプを回転させ,対向する2枚のローラをパイプに押し込むことにより,くびれを形成する.加工機の構成はスピニング加工機と同じである.ローラはパイプに連れ回りする.ローラとパイプの間に潤滑剤は用いていない.パイプをローラ近傍の左右両側でコレットチャックにより把持し,くびれを1か所ずつ成形する.1セル空洞の場合は2か所となる.くびれの間隔は165 mmで,両端を把持する部分を加えて,パイプ長さは450 mm必要である.3セル空洞の場合はパイプ長さは800 mmである.予成形終了後,ネッキングによる加工ひずみを減らすために,真空炉を使って750℃×3時間の焼鈍を行った. 図2 予成形と液圧成形の工程 ニオブパイプ 図3 ネッキング加工機とニオブパイプ 次に液圧成形でセル部分を成形した.液圧成形は図2に示したように2段階で実施する.最初に内径123 mmから160 mmまで膨らませる.外側に金型を配置して,パイプに内圧を加え,さらにパイプの両端を押込む.金型の外周は円筒形状であり,長いシリンダーの中に配置され長手方向に移動可能である.金型同志が密着するまで押し込み,内圧を25 MPaまで上げてしばらく保持し,パイプを金型に密着させる.その後,金型を外して再び焼鈍しを行う.次に金型を交換して同様に160 mmから205 mmまで膨らませる.パイプ長さは図に示したように短くなる.軸押込み力は油圧ピストンで発生させる.ここでは膨らむ様子を目視で確認しながら,内圧と軸押し込み力を手動で調整した.内圧を上げてから,軸押し込みをした.実際の負荷経路は記録していない.尚,流体として油を使用している.液圧成形の様子を図4に示す.成形が完了したニオブパイプを図5に示す.赤道部が最も伸びる部位であり,円周方向に62%伸びている.金型の合わせ面であり,多少の凹凸と面の荒れが認められた.同様の工程で3セル空洞の製造を行い成功した. その後,9セル空洞の成形にトライした.9セル空洞の場合は,パイプ長さは2000 mmである.2本のパイプを試したが失敗した.長尺のニオブパイプは非常に高価である.成形コストが下がっても,トータルコストが従来工法に比べてメリットが出せない状況であり,開発を中断した. 3.2 空洞への仕上げ 図5に示したパイプをアイリス部で切断し,左右に内径70 mmのビームパイプをEBWで接合した.ビームパイプはニオブの板材を巻いてEBWにより筒状にして製作した.端部にはニオブチタン製のフランジを取り付けた.完成した空洞を図6に示す.これまでに4台の空洞(Wah-Chang製パイプ,アルバック製パイプ,各2台)を製造した. 図4 液圧成形の様子 図5 液圧成形後のニオブパイプ - 11 -

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