FORM TECH REVIEW_vol31
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削除しないでください3次元金属積層造形法は,機械加工では難しい複雑形状金属部品の製造が容易であることから,近年,その技術に対する期待が高まってきている.宇宙航空分野,医療分野,そして生産分野での応用が考えられており,生産分野では特に金型への応用が期待されている■■■■.この中で,日本国内において最も実用化が進んできているのは金型への応用である.金型への応用の一つに,三次元冷却管の配置がある■■.高精度な部品成形や成形時間短縮(ハイサイクル成形)が実現される.また別の応用としては,金型内部の任意の箇所に通気構造が配置された通気性金型によって,成形不良の低減や■■■■,生産エネルギーの省エネ化■■■が試みられている.図■には金属光造形複合加工法の造形プロセスを示している.これは積層造形と高速切削を組み合わせた加工法でありレーザ焼結によって造形された後にエンドミル工具によって高精度に表面を仕上げ加工するプロセスを繰り返すことによって実現される.3次元金属積層造形法は,従来の加工方法では成し得なかった3次元冷却管や通気性金型を実現し,金型をさらに高機能化するものとして生産プロセスへの大きな貢献を今後果たしていくと考えられる.しかしながら,造形ひずみが生じることなどの制約が原因で,試行錯誤的に製造条件を変えて装置はブラックボックスのような状態で利用されている.金型ヘの実用度をさらに高めていくためには,3次元金属積層造形のレーザ焼結プロセスに対するメカニズムの理解と,高精度化のための対策を明らかにしていくことが急務となっている■■■■■■.そこで本研究では,3次元金属積層造形のレーザ焼結プロセスを可視化する.そして,悪影響を与えているプロセスの原因や造形ひずみ発生とレーザ照射パターンや照射条件との相互関係を調べる.そしてより高性能な金型部品を実現できる安定的かつ効果的な金型製造を実現するための,造形パラメータの検討を進める.3次元金属積層造形による部品の精度悪化を引き起こす現象として,スパッタ現象,余剰硬化現象,造形ひずみ現象などが知られている.これらの現象が及ぼす悪影響について表■にまとめた.本研究は,表 に示す調査方法を用いて,これらの現象の要因について調べていく.写真位置1.研究の目的と背景*九州工業大学 大学院・情報工学研究院・知的システム工学研究系 教授レーザ焼結金属積層造形における現象表 各現象の影響要因の調査方法現象スパッタ現象余剰硬化現象造形ひずみ現象微小空間での、粉体から液体、バルク体へ相変化に伴う不均一な体積収縮の発生現象スパッタ現象余剰硬化現象造形ひずみ現象複数のレーザ照射条件に基づきテストピース形状を造形し、ベースプレート下面に張り付けたひずみゲージにより、ベースプレートのひずみ量の変化を測定する。2.実験方法スキージ造形ステージ材料供給造形物図1金属光造形複合加工法の造形プロセス表1高機能金型製造に悪影響を及ぼす3次元 ■■レーザ焼結時のスパッタ現象の可視化 ■■■■実験装置実験には株式会社ソディック社製の金属■■■プリンター■■■ ■■■を用いた(図 ).装置の仕様を表■に示す. ■■■ 実験条件表■に実験条件を示す.レーザ走査速度の■条件とレーザパワーの 条件の組み合わせの合計■条件で造形実験を行った.金属粉末レーザ光ガルバノメータミラー材料タンク影響要因の調査方法高速度ビデオカメラで撮影、スパッタ飛散の状況を観察複数のレーザ照射条件に基づきテストピース形状を造形し、余剰硬化の状況を顕微鏡で観察測定する。現象が及ぼす悪影響内容溶融金属が周辺へ飛散•硬度むらや組成むら。スパッタ•密度むらの発生による穴や水漏•不安定な寸法変化発生•安全な切削パスによる空切削パ焼結領域周辺での熱拡散による溶融付着粉末による寸法増加、表面粗さの増大•形状変形を避けるための造形寸•平面研削や後仕上げ加工の必要粒子付着による寸法増加の発生。れ、腐食の発生。切削工具のチッピングなど。スに伴う造形時間の増加法への制約性の発生切削エンドミル工具H. Narahara- 72 -3次元金属積層造形におけるレーザ焼結3次元金属積層造形におけるレーザ焼結プロセスの可視化と高機能金型製造への応用プロセスの可視化と高機能金型製造への応用■原 弘之*楢原弘之Report

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