FORM TECH REVIEW_vol31
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図6 引張応力に及ぼすの影響 図7 種々の突起形状の接合材における引張応力 図9 積層造形接合試料の断面SEM写真 (a)炭素繊維軸図8 プリプレグの積層方法模式図 た。接合材の引張応力は、突起傾斜角度()によっても高くすることが可能と考えられる。そこで、引張応力に及ぼすの影響を調査した。図6は、引張応力との関係を数値解析で求めた結果である。図より、引張応力はの増加とともに上昇し、が70°で極大を示し、80°では少し低下することがわかる。これは、アンカー効果の低下によって突起の傾斜部ですべりが生じたためと予想される。以上の結果より、図2(a)に示す逆円錐台形状の突起において、最大引張応力を示す形状は、 = 70、P = 1.5であることを数値計算によって導き出すことに成功した。 次に、実際に突起形状試料を作製し、引張試験を行うことで、数値解析結果の妥当性を検証する。ここでは、数値解析を行った①P = 3.0 /  = 45、②P = 2.7 /  = 45、③P = 2.4 /  = 45、④P = 2.3 /  = 45、⑤P = 2.2 /  = 45、⑥P = 1.5 /  = 70、⑦P = 1.3 /  = 80の7つの突起形状を有する試料を用いてFSWし、接合材の引張応力を評価した。図7に引張試験結果を示す。図より、実験で得られた引張応力は、数値計算よりも4割ほど低い値となった。しかしながら、①から⑤の = 45一定条件において、Pが小さくなるに従い引張応力が上昇し、P = 2.3で極大値を示した後、P = 2.2では応力が低下したことから、図5と同様の傾向が確認された。さらに、④( = 45での最大引張応力値)、⑥、⑦を比較すると、を高くすることで引張応力が上昇しており、が70°および80°で最大値を示したことから、引張応力の依存性についても、数値計算結果と同様の傾向が確認された。以上のことから、絶対値については、今後の課題が残されたが、突起形状が接合材の引張応力に及ぼす影響の傾向は的確に予測できており、数値計算が突起形状設計に有効活用できることが示された。 ■■■■金属と■■■■の異材接合への展開■前節で、表面に突起形状を付与することで、"異種金属接合材を容易に作製できること"および"AMにより突起形状を最適化することで、接合材の高強度化が図れること"を明らかにした。本節は、本技術が金属と炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics: CFRP)の異材接合技術として適用できるかを検証する。突起形状は表1におけるCとし、図8に示すように、長さ35 mm、幅9.5 mm、厚さ6 mm、突起高さ0.3 mmの試験片に切削加工した。接合に用いる樹脂は熱硬化性炭素繊維プリプレグ(樹脂含有率25 %、繊維直径7 m、シート厚さ0.1 mm)である。接合材の引張せん断応力に及ぼすプリプレグの積層方向の影響も調査するため、図8に示すように、引張試験時の引張方向と炭素繊維との方向が異なる3種類(TP1~TP3)の試料を作製した(AM接合材と称す)。プリプレグの硬化兼接合条件は、真空、180℃、1時間である。また、比較材として、過去の研究報告6)を参考にし、ファイバーレーザ溶接機を用いて幅約50 m、深さ約100 mの溝を約0.3 mm間隔で碁盤目状に加工し、TP1と同じ積層方法でCFRPを加熱硬化・接合させた試料を作製した(レーザ接合材と称す)。図9(a)および(b)は、TP1の接合部近傍における炭素繊維の軸方向および垂直方向の断面方向断面 (b)炭素繊維垂直方向断面 - 52 -

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