FORM TECH REVIEW_vol31
53/110

図5 引張応力に及ぼすPの影響 図3 各突起形状の接合材断面光学顕微鏡写真 図4 数値解析モデル 表1 積層造形の形状寸法 d1 (mm) 1.7 1.1 0.6 (deg.) 45 45 45 - 51 - ■■■■■■■の塑性流動が突起形状に及ぼす影響■表1に示す3種類の造形物を用いて、図2(b)に示す条件で接合し、突起形状に及ぼすFSWの塑性流動の影響を調査した。図3に、形状A、B、CのFSW材における接合界面の光学顕微鏡写真を示す。図より、形状Cでは、図中矢印で示すように、FSWの塑性流動により突起が根元から破断していることが確認された。形状AおよびBについては、図中〇で示す接合ツールのショルダの直接的な押圧による突起の変形が一部観察されるが、突起の根元から破断する様子は観察されなかった。以上のことから突起の根元直径が少なくとも1.1 mm以上であれば、FSWの塑性流動が接合後の突起形状に影響を及ぼさないことが明らかとなった。次に、形状AおよびBの接合材の引張応力を調査したところ、それぞれ44 MPaおよび29 MPaとなり、形状によって引張応力が変化することがわかった。 ■■ ■突起形状および配置の最適化■前節で、突起形状により接合材の引張応力が変化することがわかった。また、d1が1.1 mm以上であれば、FSW中に突起が破損しないことを確認できたことから、本節では、d1を1.1 mmに固定し、接合材の引張応力が最大となる突起形状と配置を、数値解析を用いて明らかにする。数値解析ソフトウエアはSimufact Formingを用い、解析モデルは図4に示すように、突起同士が最近接する領域を切り出した最小単位で評価した。要素はテトラ要素(tetrahedral247)、メッシュサイズは0.045 mmである。 はじめに、接合面に設ける突起の数(密度)が接合材の引張応力に及ぼす影響を調査する。突起形状を = 45に固定し、突起の配置間隔である図2のPを変化させたときの応力変化を数値解析で算出した結果を図5に示す。図より、引張応力は、Pが3 mmから低下するに伴い増加し、Pが2.4 mmで最大ピークを示した後、低下することを確認しEOSINT M280)を使用した。平均粒径約20 mのマルエージング鋼ガスアトマイズ粉末を用いて、図2(a)に示すような形状の突起を、厚さ25 mmのS50Cプレート上に造形した。図2(b)に造形サンプルの外観を示す。作製した造形サンプルに対して図2(b)に示すように、造形面を15 mm間隔で切断することによって、側面に突起形状を有する厚さ15 mm、幅25 mmのFSW用板材を作製した。このFSW用板材に対して、図2(c)に示すように、厚さ15 mmのA5052アルミニウム合金を突き合わせてFSWを行った。FSWは、プローブ直径8 mm、プローブ長さ8 mm、ショルダ直径24 mmの接合ツールを用い、プローブ外周を突起先端から約0.1 mm離した位置にて、回転速度1800 rpm、接合速度25 mm/minで行った。なお、接合材の厚みに対して、プローブ長さが短いため、同じ接合条件で裏からもFSWすることで厚さ15 mmの接合材を作製した。 3.実験結果および考察 D P (mm) 5.7 4.2 2.8 (mm) A B C 4 3 2 d2 (mm) 3.7 2.1 2.6 h (mm) 1 1 1

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る