図2(a)突起形状の模式図、(b)AM後のサンプル外観、図1異種金属摩擦攪拌接合の模式図削削除除ししなないいででくくだだささいい■ものづくり産業においては、機能性に富んだ新材料が求められており、現有素材を適材適所で組み合わせる、いわゆる「マルチマテリアル化」が注目されている。マルチマテリアル化の達成には、特性の異なる材料同士を接合する技術の確立が必須条件となる。輸送機器分野では、脱炭素社会実現に向けて、車両のさらなる軽量化が求められており、鉄鋼とアルミニウムのマルチマテリアル化は最も関心の高い技術の一つとなっている。しかしながら、鉄鋼とアルミニウムの溶融溶接では、両材料の反応により接合界面に脆い金属間化合物が形成し、十分な継手強度が得られないため、構造部材への適用は困難とされてきた1)。近年、福本ら2)は、摩擦攪拌接合法(Friction Stir Welding : FSW)を用い、鉄鋼とアルミニウム合金の突合せ接合において、アルミニウム母材で破断するような接合材を作製することに成功した。FSWの模式図を図1に示す。アルミニウム同士のような同種材をFSWで接合する場合には、ツールの中心は両ワークの突合せ位置(接合界面)上に配置される。一方、鉄鋼とアルミニウムのような異種金属材料のFSWでは、図1に示すようにプローブが鋼板をわずかに削ることによって、鉄鋼の接合面において新生面を現出させ、塑性流動しているアルミニウムを凝着させることで接合が達成される。過度な切削は接合温度の上昇と金属間化合物の形成を促進させ、継手強度の低下を招く3-4)。そのため、高品質な接合材を安定的に作製するためには、接合前の被接合材と接合ツールの正確な位置調整が必須となり、これが異種金属FSW施工上の課題の一つとなっている。そこで、プローブによる切削を必要としない異種金属FSW技術を確立すれば、接合前の正確な位置調整が不要になると考え、アンカー効果を利用した異種金属写写真真位位置置■1.研究の背景と目的2.実験方法FSWに着目した。具体的には、あらかじめ切削等で加工されたワーク表面の凹凸に、FSWによって塑性流動した材料を流入させて機械的に接合する。これまでに、機械加工によって溝形状を付与してFSWした研究報告5)はあるが、機械加工では付与できる凹凸形状に制限があり、凹凸(c)接合時の模式図形状と継手強度との関係は明らかになっていない。本研究では、任意の凹凸形状を形成できる付加製造法(Additive Manufacturing : AM)を活用することで、アンカー効果が最大限得られる凹凸形状の最適化を図り、高品質な異種金属FSW材をより安定して作製する接合技術を開発することを目的とする。造形には、Ybファイバーレーザを搭載したレーザ積層造形(L-PBF:Laser Powder Bed Fusion)装置(EOS製*大阪産業技術研究所 金属材料研究部 主任研究員- 50 -T. Tanaka付加製造法を利用した付加製造法を利用した革新的マルチマテリアル化技術の開発革新的マルチマテリアル化技術の開発田中 努*田中努Review
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