FORM TECH REVIEW_vol31
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図10結合溝の塑性流動(結合荷重60kN)図9結合荷重と結合効率の関係[ ycneiciffe gninioJ]%0BACD響による軸戻し耐荷重の差が表れ,穴部品側に結合溝を有する手法C,Dは手法A,Bよりも大きな軸戻し耐荷重が得られた.最も高い軸戻し耐荷重を得られた手法Cは13.45kNであり,従来法(硬度差有)よりも大きな軸戻し耐荷重を得られた.結合荷重60kNの場合,結合溝の無い手法Aと軸部品のみに結合溝を有する手法Bにも軸戻し耐荷重の差が表れ,手法Aの耐荷重は9.1kNであり,従来法(硬度差無)よりもやや小さかった.一方で手法Bの耐荷重は14.05kNであり,従来法(硬度差無)よりもやや大きな耐荷重を得られた.提案する手法AからDを比べると,前述の通り結合荷重30kNでは各手法に差はないが,結合荷重45kNの場合には手法A,Bは従来法(硬度差有)より30%以上軸戻し耐荷重が小さく,従来法(硬度差無)と同程度であり,十分な結合強度が得られなかった.手法Dは従来法(硬度差有)とほぼ同等の軸戻し耐荷重を得られ,手法Cは従来法(硬度差有)よりも大きな軸戻し耐荷重を得られた.■■■結合効率ff軸戻し耐荷重■結合荷重■図9に結合荷重に対する軸戻し耐荷重の割合を結合効率として示す.この値が高いほど,より低い結合荷重で高い強度を実現していることを意味する.結合溝の無い手法Aは,結合荷重30kNの場合の結合効率は約11%と他の手法と同等だったが,結合荷重が大きくなっても結合効率はほぼ変わらず横ばいであった.手法Aでは両部品への段付け加工によって図4(A)の①軸部品の塑性流動と②穴部品の塑性流動が互いに半径方向逆向きの締付圧力を生じて結合される.この時,穴部品の結合後の外径は結合荷重30kNの場合にはほとんど変化しなかったが,結合荷重45kNで+0.015mm程度,結合荷重60kNで+0.03mm程度大きくなっていた.このことから,①による半径方向外向きの圧力が高くなると穴部品全体がわずかに半径方向外向きに弾性変形し,穴が押し広げられることで②の締付圧力の一部が相殺されたため,結合荷重が大きくなっても結合効率が変化しなかったと考えられる.軸部品に結合溝を有する手法Bの結合効率は結合荷重45kNまでは手法Aと同程度であったが結合荷重60kNでは手法Aや従来法(硬度差無)よりも高い約23%の結合効率が得られた.このことから,結合荷重50kNから60kNの間で軸部品の結合溝に塑性流動した材料が充填され結合溝の効果が表れたと考えられる.穴部品に結合溝を有する手法C,両部品に結合溝を有する手法Dは結合荷重45kNから他の手法よりも結合効率が高くなり結合荷重60kNでは従来法(硬度差有)よりも高い約32~40%の結合効率が得られた.このことから,穴部品の結合溝への塑性流動は結合荷重30kNから45kNの間で始まっており,軸部品の結合溝よりも早い段階で穴部品の結合溝の効果が表れたと考えられる.一方で手法B,C,Dいずれの条件でも結合荷重60kN付近で結合効率のピークを迎え,それ以上の結合荷重では結合効率が上がらなかった.また,手法B,C,Dの結合後の穴部品外径の変化は手法Aより小さく,結合荷重45kNで+0.01mm以下,結合荷重60kNで+0.02mm以下であったが,結合荷重65kN以上では+0.05mm程度大きくなっていた.このことから条件B,C,Dの結合溝への塑性流動による材料の充填は結合効率60kNでピークを迎え,それ以降は手法Aと同様に穴部品全体の弾性変形によって締付圧力が相殺されて結合効率が上昇しなくなったものと考えられる.■■■結合溝への塑性流動の観察4.3で軸部品と穴部品,それぞれの結合溝への塑性流動について,穴部品結合溝の方がより早い段階からその効果を発揮していることを述べた.図10に結合荷重60kNの結合品を切断し,結合溝部の断面を観察した結果を示す.手法CおよびDの穴部品結合溝は塑性流動した材料が十分に充填されており,その割合は手法Cで90%以上,手法Dで75%以上であった.それに対して手法BおよびDの軸部結合溝へ塑性流動した材料は少なく,手法Bで35%以上,手法Dで25%以上であった.いずれの場合にも軸部結合溝よりも穴部結合溝の方が塑性流動による充填が多かったことから,前述の通り,穴部結合溝の方が早い段階から塑性流動した材料が充填され始め,結合強度の上昇に大きく寄与する結果となった.また,両部品に結合溝を有する手法Dは軸部品と穴部品のどちらか片方のみに結合溝を有する手法B,Cに比べて,軸部結合溝と穴部結合60Conventional (S45C+A5056)Conventional (without hardness difference)Method AMethod B(Shaft has groove)Method C(Ring has groove)Method D(Both have groove)5040302010203040506070Joining load[kN]Joining load[kN]80Shaft(B)Groove of shaftShaft(D-1)Groove of shaft(D-2)Groove of ringRingShaftRing(C)Groove of ringRingShaftRing- 47 -

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