FORM TECH REVIEW_vol31
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図2は,燃焼合成している最中の粉末床端部における温度プロファイルを示す.測温はPt-PtRh熱電対で測り得る温度域内で反応が進行するTi+Ni混合粉末層で行った.V=√2𝐸𝐸[{(1+(1+2𝑀𝑀𝐶𝐶)36(1+𝑀𝑀𝐶𝐶)3.実験結果および考察この粉末床の端部にタングステン細線製で作製した着火用コイルを包埋し,同コイルに数秒間通電することで燃焼合成を開始した.反応開始後,10秒から40秒の間に電気雷管で爆薬を爆発させると共に,爆薬量も変化させて最適な爆発圧接条件を求めた.本研究では,セラミックス層とBPの間に,燃焼合成後にTiNiとして生成する層を挿入した.このTiNi相は擬弾性効果を有する金属間化合物として知られている14,15).その擬弾性効果は,本研究で作製する複合材料が高温下にある場合,セラミックスと金属の間の熱膨張係数差に起因して発生する熱応力を緩和させるための重要な役割を果たす.本研究で用いた高性能爆薬SEPの爆轟速度は約6900 m/s である.燃焼合成によって生成するセラミックスに負荷する圧力を変えるため,装薬のサイズは70 mm ×70 mm ×10mm(爆薬量:56 g)または 70 mm ×70 mm ×20mm(同:113 g)とした.上記の各種実験条件を一覧表の形にして表1に示す. ■ 評価方法反応生成物の相同定は,X線回折(XRD, PANalytical, X'pert PRO)により行った.また,得られた爆発圧接材を高速切断機で切り出したものを樹脂に包埋し鏡面研磨したものを用いて,その接合界面を走査型電子顕微鏡(SEM,キーエンス社製,VE-7800)で観察した.加えて,ビッカース硬度試験機(ミツトヨ,HMV)を用いて,爆発圧接材の硬度値を測定した.また,TiNi層による熱衝撃特性および熱応力緩和効果を評価するために高温下に置いた複合材料を急冷する試験も実施した.この試験は,圧接材を13mm×5mm×4mmの直方体形状に切断したものを用いて,電気炉中600℃で10分間保持した後に室温の水槽に落下させる方法で行った.表■■熱間爆発圧接の実験条件とビッカース硬度試験結果本研究では,上述のように飛翔板がセラミックス層に衝突する際の衝撃波の効果を調べるため,爆薬量を変化させて実験を行った.ここで,その加速された飛翔板の速度Vを式(3)に示されるOpen-faced sandwich構造におけるGurneyの式16)を用いて推定した.ここで,Eは爆薬の単位質量あたりのエネルギー,Mは金属飛翔板の質量,Cは爆薬の質量である.Eには同じSEP爆薬を用いた研究報告17) から2.16 MJ/kgの値を採用した.その結果,SEP爆薬を56.0g,113g使用した場合の飛翔体の計算速度は約835 m/s,1330 m/sであった.この結果は,使用する爆薬が多いほど燃焼合成で生成する物質への衝撃圧力が強くなることを示している.図2Ti+Ni層における燃焼合成中の温度プロファイル- 29 -}+𝑀𝑀𝐶𝐶]−1/2■■・・・・(3)

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