FORM TECH REVIEW_vol31
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謝■辞■参考文献 力の作用を考えると,間隙長は狭い方が望ましい.この相反する接合条件を満たすためには,放電電流が最大電流値に達するまでの時間に可動板が高速度で固定板に衝突することが必要であることが分かった.従って,良好な接合を達成するためには,放電エネルギーWを一定とした場合,間隙長dの調整により衝突時間を制御する事が必要である.適切な接合条件の検討において,正確な衝突時間の測定は重要となり,本研究で用いた電気的な測定法は効果的である.鋼板の強度が高くなるにつれて,接合可能な間隙長の範囲は狭くなり,接合条件が限られるが,この条件を満たす間隙長で6061-T6板と1GPa級ハイテン鋼板の接合が達成できた.■ 4.まとめ (1) 6061-T6板とDP780 鋼板の接合において,放電エネルギーWが3.0kJの場合,間隙長dが1.17~1.42mmの接合条件で母材破断に至る良好な接合ができた.この時の衝突速度は430~459m/sであった. が最大電流値に到達する時間よりも短い時間になるように間隙長を選択すればよい.従って,衝突時間は衝突速度に加え,接合条件に影響を及ぼす因子の一つであると考えられる. (5) SEM観察の結果,いずれの接合板の接合界面にも波状模様が観察され,また,不連続的にFeとAlから構成される中間層が生成していることが分かった.(6) EBSD分析の結果,6061-T6/DP980鋼接合板の接合界面には塑性ひずみが蓄積しており,また,母材内部■(2) 衝突速度の増加により接合板の接合幅は広くなる傾向を示した.しかし,間隙長d=1.59mm以上(衝突速度459m/s以上)の接合では,接合幅は狭くなり,接合部剥離となった.引張強度が高い接合板の接合強度や接合可否を衝突速度のみで判断できない. (3) 可動板が固定板に衝突してからも可動板に電磁力が作用し続けることを考慮すると,可動板の衝突時間(4) 6061-T6板とDP980 鋼板の接合において,(3)の結果に配慮した結果,放電エネルギーWが3.0kJの場合,間隙長dが1.17~1.31mmの接合条件で母材破断に至 る良好な接合ができた.この時の衝突速度は430~446m/sであり,DP780 鋼板との接合の場合と比較して接合の間隙長範囲が狭くなった. 渦のように巻き込まれた母材同士が,アンカー効果を生じたと考えられる. と比較して結晶粒が微細化していた.アンカー部分の結晶粒微細化は,接合界面を強化する因子となると考えられる. 本研究は,公益財団法人天田財団からの一般研究助成(AF-2018012-B2)により実施した研究に基づいていることを付記するとともに,同財団に感謝いたします. ■■) 林,薄鋼板成形技術研究会編■:プレス成形難易ハンドブック第■版( ■■■).■ ) 新倉昭夫:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ff ■■■■■■■■■■■■■■■) 相沢友勝:塑性と加工■■■■■■■ ■ff ■■■■■■■■■■■■■■■■) 日本塑性加工学会編:接合―技術と全容の可能性―,コロナ社■ff■■■■■■■■) 糸井貴臣,橘田駿一,岡川啓悟:軽金属,■■■ff ■■■■,■■■■■■■■■■) 糸井貴臣,井上祥一, 中村晃貴,橘田駿一,岡川啓悟:軽金属,■■■ff ■■■■,■■■■■■■■■- 27 -

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