FORM TECH REVIEW_vol31
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]N[01重荷ルーツ0-1.53000, 4500, 600010, 25, 50, 75, 1000.5 1.5 3.ツール静止荷重による挿入位置設定による試行昇が見られることから,凝着による荷重上昇が発生したときに攪拌が行われるが,凝着量が大きすぎると破断に至ると考えられる.ここで,挿入過程で荷重上昇が発生した場合と荷重不足の場合の荷重測定結果をまとめて図7に示す.この結果を見ると,およそ50N付近で荷重の上昇が発生しており,凝着が発生する条件として,ある荷重の閾値があると考えられる.以上の結果から,ツール軸方向に発生する荷重を一定に揃える事ができれば結果が安定すると考えられる.80凝着発生7060非凝着5040302010-1図7凝着時と非凝着時での荷重変動の比較■■■試験方法前2.3節の結果より,ツール荷重による最大挿入位置の設定による接合の試行を行った.実験の概要図を図8に示す.まず,裏当て板の上に材料を2枚突合せて固定し,ツール静止状態で材料と接触させて徐々に押し込む.そして,目標の設定荷重に達した位置をプログラム上の原点に設定する.その後ツールを一度上げ,ツールを回転させた状態で0.75mm/minの速度で再び原点位置まで押し込み,所定の時間保持させ,100mm/minの速度で引き上げた.この手法では,ツール静止状態で材料に押し付けたときの荷重(以下,設定荷重)を変化させることで,原点位置が変化し,材料に対する挿入量を変化させる.所定の静的荷重によるツール原点設定原点まで挿入自動加工機の位置制御による操作図8荷重による初期位置設定を用いた摩擦攪拌点接合の手順ツール回転速度の条件を増やすため,図3の装置をマシニングセンタ(ヤマザキマザック,VERTICAL CENTER NEXUS 430B-ⅡHS型)のステージに取付けて接合試験を行った.裏当て材には,供試材との凝着防止のため,アルミナ製のセラミックプレートを使用した.裏あて版の材質として,本報告では省略するが,S50Cの場合には裏当て板への凝着,凝着を抑制しながら弾性率を下げるためのテフロンプレートの場合では加工中の板材の沈み込みにより荷重不足の傾向の出現など問題があり,セラミックプレートを選択した.また,ツール先端のフラット部の表面粗さについても,平均表面粗さRa 0.25 μmとRa 2.37 μmの2パターン試行したが,後者では試行ごとにばらつきが多く,前者が良好であり,本試験では,2.2節の最終的な加工により,Ra 0.11 μmのものを使用している.接合可能条件を特定するために実施した接合条件を表2に示す.ツール回転数[rpm]ツール原点のための初期荷重[N]ツール挿入速度mm/minツール保持時間[sec]■■ 評価方法接合実験における接合の成否は,目視によって判断した.試験片の接合部に目視では欠陥が認められなかった場合を「成功」,接合部が欠落した場合や,ツールと接触した痕はあるが,突き合わせ面に変形が見られなかった場合を「不成功」とした.なお,条件によっては,接合の成否が不安定であったが,ここでは複数回の試行でー度でも接合に成功した条件は「成功」と判断した.接合実験後に接合部の強度評価のためオートグラフ(島津製作所,AG-50kND)を用いて引張試験を行い,最大荷重を測定した.引張試験片は,成功した接合条件において,各1個作製した.また,接合部が組織的に攪拌されていることを確認するため,接合部近辺の断面観察を行った.回転数6000 rpm,初期荷重100 Nの接合条件において行い,光学顕微鏡を用いて観察した.■■■接合試験結果各接合条件における接合の成否を図9に示す.また,例として回転数■■■■■■■■の条件における接合後の接合部■ツール表面の外観の結果をそれぞれ図10,11,12に示す.接合が不成功であった場合のうち,初期荷重が低い条件では,供試材表面にツールのわずかな接触痕は確認できたが,撹拌には至っておらず,突合わせ面の変形は見られな離脱かった.この場合,接合中の荷重にも,初期荷重からの変化はほとんど認められなかった.それに対し,接合に成功した場合,前述と同様に接合中の荷重は初期荷重よりも高い値にまで上昇した.ツールに供試材が凝着して攪拌が開始したためと考えられる.ただし,初期荷重が高すぎる場合においては,攪拌を示す荷重上昇が見られるが,接合部中心に過度の攪拌により欠落が生じた.また,回転数が上昇するほど,初期荷重が低い条件で接合に成功した.これ表2接合のための条件-0.50.5時間[s]保持- 12 -

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