FORM TECH REVIEW_vol30
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術, 精密工学会誌, 74-8 (2008), 781.■ 4.結言 謝■辞■参考文献 が確認できる.ここで,同図(ii),(iii)とパルス幅τ = 3 nsのレーザによる実験結果(図7(i)(a))を比較すると,図8(ii),(iii)では構造体上面の溶融がなく,溝底部の溶融も非常に少ないことがわかる.これは,前節で述べたように熱侵入長が短いことにより,バリ部のみを優先的に溶融・除去がされたためだと考えられる.ただし照射回数がN = 100,200 shotsの場合には,同図(iv),(v)に示すように,構造体ごと大きく破壊されることになる.とくに,同図(v)に示す,溝底部に形成された連なった穴形状や溶融層の広がりなどは,レーザ照射の熱エネルギによる溶融・蒸発などの熱伝導現象だけでは説明することができず,レーザが微細構造体に入射した際に形成する電界場の影響や,非熱的な除去現象(アブレーション)などが関わると考えられる. 以上の結果を踏まえ,現在はパルス幅τをフェムト秒まで短くした超短パルスのファイバレーザを導入し,図9に示す通りレーザ照射口を縦型に配置することで超精密加工機上でのLASの実用可能性について検証を行っている. 本研究では,超精密切削によるマイクロオーダの微細構造体上に発生したバリを除去する手法としてレーザ援用サイマルプロセッシング(LAS)によるデバリング法を提案し,その有効性について検討を行った.その結果得られた知見を以下に示す. (1) 先端幅5 μmの矩形バイトにより平行溝構造体創成実験を行った結果,構造が高アスペクト比であるほどバリの発生が顕著になることを明らかにした. (2) 平板に対する熱伝導解析を行い,レーザ波長の影響を検討した結果,波長が短いレーザほど熱侵入長が小さくなることを明らかにした. (3) 熱伝導解析において,レーザのパルス幅の影響を検討した結果,パルス幅が短いレーザであるほど熱侵入長が小さくなることを明らかにした. (4) 第2章で作製した微細構造体のうち,バリの発生が顕著であったd = 15 μmの矩形形状平行溝に対してレーザデバリング実験を行った結果,τ = 20 ps,λ = 266 nmのレーザにおいて形状誤差の増大を伴わない高品位なバリ除去が可能であることを明らかにした. (5) LASにおけるバリ除去性には,レーザ照射による熱の侵入長が関わることを確認し,短波長,短パルス78-9 (2012), 744. のレーザであるほど良好なバリ除去が可能であることを明らかにした. 本研究は,公益財団法人天田財団 平成28年度一般研究開発助成(AF-2016221)および工作機械技術振興財団 研究助成により実施した研究に基づいていることを付記するとともに,各財団に感謝致します. ■■太田稔:表面機能向上のための表面改質・仕上げ技術の展望, 精密工学会誌, 81-12 (2015), 1049.■ ■菊田久雄:表面微細構造による光学機能の発現と応用技■■蛯原建三・山本明・河合知彦・羽村 雅之:超精密多軸加工機によるマイクロ・ナノ切削加工, 日本機械学会誌, 111-1073 (2008), 4. ■■洪榮杓:超精密加工機の現状と加工事例, 精密工学会誌, ■■益子直人・小林龍一・寺岡祥平・高柳俊・嶋田慶太・水谷正義, 厨川常元:微細構造金型加工に対するレーザ援用マイクロ切削法に関する研究, 砥粒加工学会誌, 59-10, (2015), 588. ■■Xu S., Osawa S., Kobayashi R., Shimada K., Mizutani M. and Kuriyagawa T. :Minimizing berrs and defects on microstructures with assisted micromachining Technology, International Journal of Automation Technology, 10-6, (2016), 891. laser - 85 -

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