FORM TECH REVIEW_vol30
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表4Ni-P (P10 wt%) の熱的・機械的物性値(室温)表6実験条件表5各条件でのレーザ照射による熱の侵入長図5各条件でのレーザ照射による深さ方向の温度勾配図6にレーザ未照射面および各波長のレーザによるQ=0.5 J/cm2,N= 200 shotsの条件でのレーザ照射面(デバリング面)のSEM像を示す.同図より,レーザ未照射面では第2章での結果と同様,矩形形状平行溝構造体の稜線部にバリが発生していることが確認できる.これに対し表3解析条件図4熱伝導解析モデルの模式図の間で任意に変更可能である.なお,照射範囲の調整は光軸の絞りにより行うため,照射範囲を変化させてもエネルギ密度は一定となる.実験条件を表6に示す.本実験では,デバリングにおける波長λの影響を検討するため,Nd: YAGレーザの基本波(λ = 1064 nm),第2高調波(λ = 532 nm)および第3高調波(λ = 355 nm)を使用して実験を行った.照射範囲は60 μm×60 μmとし,レーザの照射回数は1 ~ 200 shotsまでの範囲で実験を行った.てデバリング面では,構造体稜線部のバリがレーザ照射による熱エネルギの集中で溶融していることが確認できる.ただし,Q=0.5 J/cm2の条件では,λ = 355 , 532 , 1064nmのいずれの波長によるデバリングでもバリは完全に溶融せず,構造体稜線部に残存していることがわかる.次に,Q = 1.0 J/cm2の条件によるデバリング面を図7に示す.同図より,エネルギ密度が十分である場合には,各波長のレーザによるN= 200 shotsの条件では矩形形状溝の底部が溶融し,構造体自体の形状が劣化することがわかる.またN= 5 shotsの条件では,λ= 355,532 nmの場合には,レーザ照射領域内でバリが完全に除去できていることが確認できる.一方,λ= 1064 nmのレーザにおいては,N= 5,200 shotsのいずれの条件においても,バリ部を完全に除去できていないと同時に,矩形形状溝の底部が溶融していることが確認できる.このように,レーザの波長によりバリの除去性に差異が生じたのは,前節で明らかにしたように各波長のレーザを照射した際の熱の侵入長が異なることにより,構造体の表面近傍における溶融・蒸発などの熱伝導現象に差異が生じたためであると考えられる.■・ LASにおけるデバリング効果の実験的検証■・ ・■デバリングに及ぼす波長の影響LAS時のデバリングにおける波長λの影響を検討するため,パルス幅をτ= 3 nsと固定した条件でデバリング実験を行い,バリの除去性および構造体の形状変化について評価した.レーザ発振器にはNew Wave Research 社製のQuikLaze-50を用いた.本装置のレーザ強度は,最大レーザ強度を100%として1 ~ 100%の間で1 %刻みで調整可能となっている.照射範囲は長方形であり,1辺を1 ~ 60 μm波長λエネルギ密度Q照射回数Nパルス幅τ周波数f照射面積S3 ns0.5 ns20 ps波長λパルス幅τエネルギ密度Q照射回数N初期温度T0熱伝導率kW/(m・K)密度ρ g/cm3比熱CpJ/(g・K)パルス幅τ波長λ1064 nm532 nm355 nm532 nm532 nm熱侵入長l80.3 nm77.8 nm72.8 nm43.6nm22.0 nm355,532,1064 nm3 ns,0.5 ns,20 ps0.1 J/cm21shot20°C5.027.90.480355,532,1064 nm0.5,1.0 J/cm21 ~ 200 shots3 ns50 Hz60 × 60 μm2- 83 -

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