FORM TECH REVIEW_vol30
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表2切込み深さ条件図2矩形平行溝構造体に発生した欠陥の様子図3微細構造体に発生したバリの評価3.レーザ援用サイマルプロセッシング(■■■)のデバリング効果次に,図2に示したそれぞれの構造体のバリ高さの平均値hBについてレーザ顕微鏡を用いて測定した結果を図3(a)に示し,hBと構造体高さhの比を算出した結果を同図(b)に示す.これらの図より,各構造体上に発生するバリ高さは,総切込み深さが大きくなる,すなわち高アスペクト比の構造体ほど大きくなることがわかる.とくに複数回切削により創成されるd=10 μm以上の構造体では構造体高さに対して一定のアスペクト(hB / h= 0.1程度)のバリが発生することが確認できる.■・■熱伝導解析による構造体への熱侵入長の検討本研究ではLAS時の局所加熱を利用して微細構造体の欠陥(バリ)を除去(デバリング)し,高品位微細構造体を創成することを狙っている.これを実現するために鍵になるのは,構造体自体への熱の流入(本研究では熱侵入長と表現する)を抑え,バリに対してのみ瞬間的に高エネルギを与えることである.そこで,熱伝導解析を行うことによりデバリング時の熱侵入長(深さ方向の温度勾配)について検討を行った.具体的にはまず,熱侵入長に対するレーザ波長λおよびパルス幅τの影響について,平板に対するレーザ照射を模擬した熱伝導解析により評価を行った.解析モデルの模式図を図4に示す.同図に示すように本解析では2次元平板モデルを用い,表3に示す条件でのレーザ照射を模擬した解析を行うことでλおよびτの影響を評価した.レーザ照射対象は膜厚100 μmのNi-P(P10 wt%)めっきを施した基板とした.表4にNi-Pの熱的・機械的物性値を示す.各条件でのレーザ照射による表面からの温度勾配を比較するため,表面での温度上昇量を1とした時の深さ方向の温度上昇量をまとめた結果を図5に示す.また,熱侵入長を表面での温度上昇量の1/eとなる距離と定義し,各条件によるレーザ照射での熱侵入長を表5に示す.図5に示すように,各条件でのレーザ照射による熱伝導現象を比較した場合,波長およびパルス幅が短い条件ほど表面近傍での温度勾配が大きくなることが確認できる.また,表5 に示すように,パルス幅3 nsのレーザによる熱侵入長は70 ~ 80 nmであるのに対して,パルス幅20 psのレーザによる熱の侵入長は22 nmと極めて小さくなることが確認できる.このことより,LAS時のデバリングにおいても,熱侵入長の違いにより材料表面近傍での加工現象および欠陥除去性に大きな影響を及ぼすことが予想される.そこで次節では,第2章で最も顕著にバリが発生したd = 15 μmの矩形平行溝構造体に対してレーザ照射を行い,レーザによるバリ除去性(デバリング)に対するλおよびτの影響について検討する.(a) d= 5 μm■■■■■(b) d= 10 μm(c) d= 15 μm■■■■■(d) d= 20 μm(a) 構造体のバリ高さの平均値hB(b) hBと構造体高さhの比hB /h総切込み深さdμmd= 5 d= 10 d= 15 d= 20 d1+ d2+ d3+ d4μm5.05.0 + 5.05.0 + 5.0 + 5.05.0 + 5.0 + 5.0 + 5.0- 82 -

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