図8アパタイトコーティングの共焦点レーザー顕微(Fn-CaP)ドナー膜を,カーボン犠牲層/光スタンプ上に調製,レシーバー基板と接触させる(左).レーザーパルス照射により犠牲層でレーザー吸収が発生,その推進力によりFn-CaPチップがレシーバーに転写(右).参考文献[15]より引用.図6LIFTOPシステム.Fn担持リン酸カルシウム図7(a)にLIFTOPプロセスによりPET基板に転写されたFn-CaPマイクロチップの共焦点レーザー顕微鏡イメージを示す.比較のため(b)に光スタンプを用いない場合を示すが,光スタンプを用いた場合のみ膜破砕を低減することに成功した.これは衝撃吸収性の高いPDMSを表面コートしたことによる膜転写時の衝撃低減とともに,柔軟性にも優れるPDMSは,ドナー膜とギャップなく接触しやすく,膜のフライト距離を低減できるため,フライト図9CHO-K1細胞(10〜数十マイクロメートルの濃い紫色スポット)播種後24-27時間の光学顕微鏡イメージ.(a)Fn非担持および(b)Fn担持アパタイトドナー膜,PDMS上にレーザー転写堆積した(c)Fn非担持アパタイトおよび(d)Fn担持アパタイトマイクロチップ.参考文献[14]より引用.図7(a)LIFTOPプロセスによりPET基板に転写されたFn-CaPマイクロチップ.比較のため(b)光スタンプを用いない場合を示す.参考文献[15]より引用.時の応力付加を低減できる効果もあるためと考えている.以上より,PDMSレシーバーの利用により,アパタイトのような脆性材料も転写可能であることを基礎実証できた.図8にFnを担持しないアパタイト膜について,PDMSレシーバーに連続パターン転写した様子を示す.光スタンプは利用していないが,レシーバー基板に衝撃吸収性を有するPDMSを用いたことにより,基板表面約80%の被覆率で,膜破砕を低減した連続転写堆積を確認できた.鏡イメージ.■・■タンパク質の生理活性評価レーザー転写プロセスがタンパク質の生理活性に与える影響を検討するため,細胞培養試験による細胞接着性を評価した.ドナー原料膜ならびに転写堆積した試料表面にCHO-K1細胞を播種後24~27時間培養,クリスタルバイオレットにより細胞を固定化・染色し,光学顕微イメージ観察を実施した結果を図9に示す[14].(c,d)中の直径約100μmの円形ディスクパターン(淡い紫色)は,転写堆積したマイクロチップに相当する.(c,d)において, マイクロチップ上に細胞が密集する様子が確認された一方で,PDMS上ではまばらであった.この結果は,アパタイトマイクロチップが,PDMSに比べて,CHO-K1細胞に対して優れた細胞適合性を有することを示す.さらに,Fn担持マイクロチップ上の細胞の多くが進展している様子が確認できることから,Fnの細胞接着性が,レーザー転写後も保持されていると推察される.これらに加え,細胞の多くがアパタイトチップの周囲に沿って局在・整列する傾向がみられることから,本手法によるパターニングが細胞操作能力を有する可能性が示唆される.- 78 -
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