FORM TECH REVIEW_vol30
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図4■産総研で開発中のAIST-LIFTプロトタイプ機の (上)システム概要と(下)装置写真.システム小型化のため,マイクロチップレーザーを導入.挿入図はプロトタイプ機でSiウェハ上に転写した(a)Cuドットと(b)原料のCuドナーフィルム. 図3■レーザー誘起ドット転写法によりSiウェハ上に■■図4に産総研で開発中のレーザー転写プロトタイプ機を示す.LIFT技術の産業応用に向けた取り組みの一環として,LIDT法をベースとした金属の微細パターン描画のためのプロトタイプ機を開発している.特徴として,小型転写堆積したFeSi2マイクロドットアレイの(a)SIMイメージと(b)断面TEMイメージ. 化のためマイクロチップレーザー(株式会社オプトクエスト,波長1064 nm, パルス幅 < 1 ns,最大パルスエネルギー ~2 mJ, 最大繰り返し 100 Hz, ヘッドサイズ■30 mm × 40 mm × 125 mm)をレーザー転写用光源として導入した.さらに,レーザー転写制御因子で重要となるドナー-レシーバー間距離を計測できるシステムを導入,ドナー-レシーバー間距離を最小50 μm程度からマイクロメートル精度で計測・制御可能である.また,ドナーとなる金属膜の供給を連続的に行うことでプロセスを効率化するため,樹脂フィルムとして耐熱性の高いポリイミド(Polyimide, PI)を透明キャリアとして,キャリア上に厚さ数百ナノメートルのCu膜等を積層したCu ドナーフィルムを利用できるよう転写原料フィルム巻き取りシステムを試作した.現在は開発した本プロトタイプ機を用いたCuマイクロドット・配線描画について検討を進めている. ■ ・ ■レーザー光スタンプ転写ff■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■法による膜転写■レーザー転写のチップ積層技術としての応用が進む中,次世代ターゲットとして2Dマテリアルであるグラフェンをはじめ各種機能性薄膜を他基板・デバイスへ積層する技術への展開[3,5,6,8,11]や,細胞・バイオインクの転写などバイオ・医療分野への適用[12-16]も期待される. そのような背景のもと,固体ドナー膜を射出,レシーバー基板に衝突・堆積させる転写プロセスにおいて,膜が破砕など低品位化することが,レーザー膜転写の課題となっている.そこで,膜の飛翔挙動をハイスピードカメラで観察しプロセス条件を最適化[18],またドナー膜とレシーバーに圧力をかけ密着させることで転写フルエンス閾値とレシーバーへの衝突速度を低減し膜破砕を抑制する[6]など効果的な取り組みも報告されている.さらに,衝突堆積時に生じる衝撃力低減のため,ポリマーで表面コートしたガラス平板をレシーバーとして用い,実験ならびに有限要素法による応力シミュレーションによりレシーバー表面状態を最適化するといった報告もある[3].いずれの取り組みも膜の転写形状において顕著な改善が見られているが,レシーバーへの圧力印可や表面コーティングが必要であり,任意の基板への転写は難しい. - 76 -

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