FORM TECH REVIEW_vol30
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図16GQDsのレーザ直接描画。(a,c) 光学写真、(b,d) 蛍光顕微鏡像(ex. 360 nm)スケールバーは5 mm。図14PDMSの炭化により作製した微小センサーの写真(a),圧力を印加した際のセンサーの応答(b),および圧力の大きさに伴う応答の変化(c)図15作製した指輪型心拍センシングデバイス1)Y.Nakajima,K.Obata,M.Machida,A.Hohnholz,J.Koch,O.Suttmann,M.Terakawa,Opt.Mater.Exp.7,4203 (2017).2)Y.Nakajima,S.Hayashi,A.Katayama,N.Nedyalkov,M.Terakawa,Nanomaterials 8,558 (2018).3)S. Hayashi, F. Morosawa, M. Terakawa, Nanoscale Advances 2, 1886 (2020).4)S. Hayashi, F. Morosawa,M. Terakawa, Adv. Eng.Mater.23, 2100457 (2021).5)S. Hayashi, K. Tsunemitsu, M. Terakawa, Nano Lett. (2022). オンライン先行公刊DOI: 10.1021/acs.nanolett.1c042955.グラフェン量子ドットの直接描画6.結論謝辞参考文献的な値であり、心拍に伴い血管が膨張および収縮に由来する微小な圧力変化がセンサーの抵抗値を変化させたことが分かる。また、運動後のPost-Exerciseでは血圧の上昇により、より大きな抵抗値変化が観測された。心拍数は約136 bpmであり、静止状態と比較して顕著に多い心拍数が測定された。同センサーの心拍モニターとしての可能性を示した。著者らはPDMSへのフェムト秒レーザパルス照射により生じる材料改質、すなわち光乖離と熱分解の過程に着目し、導電性を示すような構造だけでなく、材料内部に分布する黒鉛化炭素の寸法を制御できるのではないかと考えた。直近の研究において、特定のレーザパラメータではナノメートル寸法の黒鉛質炭素結晶が生成することを見出し、PDMSの表面および内部に青色の蛍光を示すグラフェン量子ドット(Graphene quantum dots, GQDs)が直接描画可能であることを実験実証した(5)。図16は、レーザパラメータを変化させることでGQDsの生成を制御し、黒色構造内の蛍光分布を制御できる。作製したQRコードは可視的には黒色だが、光励起によりQRコードが現れ、セキュリティタグ等への応用が利用できる。同技術はフェムト秒レーザパルスを用いているため材料内部へのGQDsの生成も可能である。多光子過程による光還元と多光子重合の同時誘起による微小導電性構造の作製から、高分子材料の炭化と黒鉛化による導電性構造の作製まで、著者らの研究成果を紹介した。生成材料の詳細な解析と現象過程の理解に基づき、直近では当該技術を圧力センサーとグラフェン量子ドット生成に展開している。本研究の一部は,公益財団法人天田財団からの研究助成により実施した研究に基づいていることを付記するとともに、同財団に感謝いたします。- 74 -

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