FORM TECH REVIEW_vol30
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図6細線複合構造の抵抗値変化の測定図8PDMSの改質のための実験構成図図9(a)にPDMSプレート表面に作製した構造の光学写真を示す。可視域の透過が大きいPDMSプレート表面がフェムト秒レーザパルス照射により暗色に変化した。目図7作製構造の抵抗値の変化図9(a) レーザパルス照射したPDMSの光学写真、図10フェムト秒レーザを用いたPDMSの改質により3.■■■■の改質による導電性構造作製外部からの力学的作用により作製した細線複合構造の導電性がどのように変化するかを調べるために、作製構造へのエアブローによる抵抗値の経時変化を計測した。図6に示すように作製構造から約5 mmの距離から約5秒間のエアブローを30秒おきに3回行った。図7に銀とPDMSの細線複合構造へのエアブローによる抵抗値の経時変化を示す。網掛け領域がエアブローの時間(約5秒間)である。細線複合構造への1回目のエアブローでは抵抗値が約5%増加した。エアブローによる細線複合構造の湾曲に伴い細線複合構造の長さがわずかに増大した、もしくは内部の銀構造の接触状態が変化し、抵抗値が変化したと考えられる。エアブローの停止直後、抵抗値は減少した。これは、湾曲した細線複合構造が初期の直線状の細線複合構造に戻るためだと考えられる。2回目、3回目のエアブロー時にもエアブローによる抵抗値変化が観察され、作製細線複合構造が示す力学応答性の再現性が示された。以上の結果から、力学作用による細線複合構造の抵抗値変化が実証された。多光子還元もしくは重合よりも高いレーザエネルギーにてフェムト秒レーザパルスを硬化済のPDMSに照射すると黒色構造が生成する。研究開始当初は予想していなかった成果であるが、著者らはこの黒色構造が導電性を示すことを見出した(2)。以下、それらの研究成果を述べる。実験では、モールドに注入した液体の光硬化性PDMSに30分光照射(波長365 nm、紫外ランプ)して重合し、PDMSプレートを作製した。作製したPDMSプレートはエタノールにより洗浄した。図8にPDMSの改質のための実験構成図を示す。カバーガラス上に設置したPDMSに、対物レンズ(開口数0.4)用いて集光したフェムト秒レーザパルスを大気中にて照射した。試料表面にレーザ光を走査し、PDMS表面にアレー状に複数本の細線構造を作製した。この際、照射領域が一様に改質されるよう得られる細線構造が互いに重なり合うような走査間隔としてレーザ光を走査した。視ではレーザアブレーション痕は確認できなかった。図9(b)に暗色構造の電子顕微鏡像を示す。構造の表面にマイクロ寸法の表面凹凸が観察された。レーザ光の走査方向に沿って、溝構造(リップル構造)が観察される。リップル構造の溝方向が走査方向と一致すること、並びにリップル構造の溝間隔が走査間隔と同程度であることから、観察される溝はレーザ光の走査により得られたと推察される。(b)暗色構造の電子顕微鏡像得られた構造の電流-電圧特性- 72 -

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