FORM TECH REVIEW_vol30
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図3に作製した構造の光学顕微鏡像および電子顕微鏡像を示す。レーザパワーは60 mW、走査速度は2 mm/s、走査回数は5回とした。走査方向に平均線幅約23 μmの細線状の構造が観察された。未反応液はテトラヒドロフラ図4EDX分析結果。(a)作製した構造。(b) 同一試料上のフェムト秒レーザパルス照射していない場所。図5作製細線複合構造の(a)光学顕微鏡像、図5(a)に二つの電極を繋ぐように作製した細線複合構造の光学顕微鏡像を示す。レーザパワーは60 mW、走査速度は2 mm/s、走査回数は10回とした。図5(b)に細線複合構造の電流-電圧特性を示す。印加電圧の増加に伴い電流はほぼ線形に増加した。線形近似を適用すると、細線複合構造の平均抵抗値は28.8 kΩと算出された。図3(a) 作製構造の光学顕微鏡像、(b) 作製構造の作製した構造を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscopy、SEM)により観察した。また、エネルギー分散型X線分光法(Energy dispersive X-ray spectroscopy、EDX)により作製構造の元素分析を行った。作製した複合構造の導電性評価は図2に示す手順にて行った。まず、イオンスパッタリングにより、厚さ約8 nmの金薄膜をカバーガラス表面に堆積させた(図2a)。フェムト秒レーザパルスを対物レンズにより集光し、金薄膜をアブレーションすることで約90 μmの線幅のギャップを作製して金電極を二つ作製した(図2b)。二つの金電極間が通電していないことを二端子測定法により確認した後、金電極を堆積させたカバーガラスと金電極を堆積させていないカバーガラスで挟み込んだ混合溶液に、フェムト秒レーザパルスを集光走査し、二つの金電極に跨るように細線構造を作製した(図2c)。作製した構造の電流-電圧特性は、デジタルソースメータを用いた二端子測定法により測定した(図2d)。ンにより除去済みであり、細線構造はレーザパルス照射により付加加工された構造がカバーガラス表面に残存したものである。細線構造中心部に暗色構造がみられ、細線構造周縁部に半透明の構造が存在していることがわかる。混合溶液へのフェムト秒レーザパルス照射により銀イオンの還元とPDMSの重合が誘起され、主に銀から成る暗色部と主にPDMSから成る半透明部から構成される細線複合構造が得られたことが示唆された。細線構造が銀とPDMSから構成されていることを示すため、EDX分析を行った。結果を図4に示す。図4(a)は細線構造の中心部におけるEDX分析結果であり、銀由来の信号が検出された。図4(b)は同一試料において細線構造が存在していない場所、つまりレーザパルス照射を行っていない箇所のEDX分析結果であり、銀由来の信号は検出されなかった。これらの結果はレーザパルス照射により銀を含む細線構造が作製されたことを示す。図4(b)にみらSEM像れるNa、Al、Kの信号はカバーガラスとして用いたホウケイ酸ガラスの構成成分に由来する。(b) 電流-電圧特性- 71 -

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