図5■空冷材および水冷材の500℃における応力ひずみ図4■空冷材および水冷材の500℃における高速引張試曲線. ンソンバー型試験機を用いて実施した.平行部直径4mm×長さ20mmの平滑丸棒試験片を用い,500℃にて0.1mm/secおよび650mm/secの二種類の変形速度にて試験を行った.なお高速変形条件における変形速度履歴については実験結果を示して後述する.変位は油圧サーボ駆動するシリンダにより付与し,高速変形の際には十分な助走をさせた上で入力棒に引張向きの変形を与えた.変位の計測にはレーザー変位計(ヘッド:キーエンスLK-H150)を用いた.またひずみゲージおよびレーザー変位計のデータ収集には高速サンプリング用データロガーff■■■■■■■■■■■■■■■■■社■■■■■■ ■を用いた.加工性の指標として,破断部直径より絞りを評価した. 3.実験結果および考察 ■図2は温間溝ロール加工された空冷材(a,c)及び水冷材(b,d)のEBSD測定結果(a,b)およびSEM二次電子像(c,d)である.水平方向と垂直方向がそれぞれ圧延方向(RD)と圧延面法線方向(ND)である.EBSD測定結果を示した図では,隣接測定点間の方位差が15度以上の大角粒界を黒線で描いている.空冷材と水冷材ではいずれも圧延方向に伸長したラメラ状微細フェライト粒が観察された.板厚方向に沿って計測したラメラバウンダリの平均間隔は,水冷材が0.6μm,空冷材が1.7μmであり,温間圧延前の組織をマルテンサイトとした水冷材がやや微細であった.二次電子像では等軸形状を有する微細炭化物が観察され,特に水冷材のほうが均一に分散していた.これは温間圧延前の組織が炭素の過飽和固溶体であるマルテンサイトであるため,水冷中またはその後の析出時に低温で析出し,フェライトパーライト組織よりも均一に炭化物が析出するためである.こうした違いは過去に報告された結果と一致している3). ■凖静的条件の公称応力―公称ひずみ曲線を図3に示す.公称ひずみはレーザ変位計で測定した変位を初期平行部長さ(20mm)で割って算出している.室温の試験結果る低炭素鋼を用いた.40mm角の熱間鍛造棒材を受け入れた.初期組織における炭化物の分散状況を変化させるため,二種類の熱処理を温間加工の前に施した.すなわち,受入まま材に対して,900℃で3600秒間保持しオーステナイト化したのちに,水冷または空冷することにより組織をマルテンサイトおよびフェライト-パーライトとした.以降,それぞれ水冷材および空冷材と称することとする. ■微細粒組織は,温間域で溝ロール圧延を施すことにより得た.溝ロール圧延はサンブルのほぼすべての領域に大きなひずみを与えることができる塑性加工プロセスであることがすでに知られている3).水冷材と空冷材に対して、500℃で3600秒間保持後、溝ロール加工を施した.種々の大きさの角型溝を用い13パスにより総減面率88%の加工を施した.溝ロール加工の詳細については,すでに別の報告において述べている3).溝ロール加工後の形状は14mm角であった.得られた試験片に対して,背面反射電子線回折(EBSD)解析システムの搭載された走査電子顕微鏡(SEM)により組織観察を行った. ■引張試験はすでに述べたように,図1に示す縦型ホプキ験時の変位(a)とみかけの公称応力(b)の推移. - 58 -
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