FORM TECH REVIEW_vol30
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は,塑性変形をしたあと,破断したのに対し,水素チャージして引張試験した場合は,母材試験片,および溶接試験片のいずれも弾性変形領域で破断を生じた。一方,Fig. 9のHS7鋼は母材試験片,および溶接試験片の水素チャージの有無においてそれぞれ最大応力は同等であるが,水素チャージにより破断伸びが小さくなっていることがわかる。 3・2 引張強度特性に及ぼす水素の影響 Table 5に各鋼のスポット溶接・水素チャージ後の最大応力を示す。母材試験片の引張強さをTS,スポット溶接試験片の最大応力をTS-W,水素チャージ母材試験片の最大応力をTS-H,水素チャージ溶接試験片の最大応力をTS-WH と呼ぶこととする。Fig. 4に破断後の母材試験片を示す。(a)のTM鋼母材試験片をTM-B,(b)のTM鋼水素チャージ母材試験片を TM-H,(c)のHS1鋼母材試験片をHS1-B,(d)のHS1鋼水素チャージ母材試験片をHS1-Hと呼ぶこととする。母材試験片では,引張方向と45°の最大せん断応力方向に破断しているため,延性破壊と考えられる(Fig. 4(a),Fig. 4(c))。水素チャージ後の試験片では,引張方向に垂直に破断しているため,脆性破壊が支配的であると考えられる(Fig. 4(b),Fig. 4(d))。 Fig.5に破断後の溶接試験片を示す。(a)のTM鋼溶接試験片をTM-W,(b)のTM鋼水素チャージ溶接試験片を TM-WH,(c)の HS1鋼溶接試験片をHS1-W,(d)のHS1鋼水素チャージ溶接試験片をHS1-WHと呼ぶこととする。 溶接後試験片では,面内引張試験12)として行ったため,平滑試験片と同様に評価した。水素チャージ無しの場合は,引張方向と45°の最大せん断応力方向に破断しているため,延性破壊が支配的であると考えられる(Fig. 5(a),Fig. 5(c))。TM-WHでは,右側が引張方向に垂直に,左側が引張方向と45 °の最大せん断応力方向に破断しているため,延性破壊と脆性破壊と考えられる(Fig. 5(b))。HS1-WHでは,引張方向に垂直に破断しているため脆性破壊と考えられる(Fig. 5(d))。 Fig. 6にHS7鋼の水素チャージ試験片を示す。(a)のHS7鋼水素チャージ母材試験片をHS7-H,(b)のHS7鋼水素チャージ溶接試験片をHS7-WHと呼ぶこととする。HS7鋼では,どちらも引張方向と45 °の最大せん断応力方向に破断しているため,延性破壊と考えられる(Fig. 6(a),Fig. 6 (b))。 Table 5. Tensile strength and maximum stress of TM, HS1 and HS7 steels. TS: tensile strength of base metal specimen, TS-W: tensile strength of spot-welded specimen, TS-H: tensile strength of base metal specimen with hydrogen charging and TS-WH: tensile strength of spot-welded specimen with hydrogen charging. TS-W (MPa) 1450 1388 557 TS-H (MPa) 1126 725 507 TS-WH (MPa) 929 811 533 (a) (a) - 49 -(b) TM-H, (c) HS1-B, (d) HS1-H) (b) TM-WH, (c) HS1-W, (d) HS1-WH). Fig. 6. Specimens after tensile test ((a)HS7-H, (b) HS7-WH) . Fig. 7にTM鋼,Fig. 8にHS1鋼,Fig.9にHS7鋼の母材試験片,および溶接試験片の水素チャージ有無の応力σ-ひずみε線図を示す。Figs.7,8より,TM鋼,HS1鋼の母材試験片,および溶接試験片の水素チャージ無しの場合(b) (c) (b) (c) (a) (b) (d) (d) 10 mm Fig. 4. Base metal specimens after tensile test ((a)TM-B, 10 mm Fig. 5. Spot-welded specimens after tensile test ((a)TM-W, 10 mm TS specimen (MPa) 1532 1469 559 TM HS1 HS7

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