■ キーワード:V曲げ,板鍛造,スプリングバック 1.研究の目的と背景 ■金属薄板の型曲げにおける曲げ角度制御は除荷時のスびスプリングバック制御手法の検討 *京都工芸繊維大学 機械工学系 准教授スプリングバック制御メカニズムの解明 プリングバックの影響があるため,理論的な予測が困難であり,現場において見込み金型の使用,決め押し,リストライクなどの経験的な手法によって行われている.これら経験的な手法の効果については,詳細なメカニズムは説明できていない.■スプリングバックを抑制する方法として,ボトミングやコイニングといった方法がある.これらの手法では,曲げ加工の終期において曲げ部に圧縮力による追加工を行うのがポイントと考えられるが,これらは板鍛造の一種と捉えることができる.したがって,これら板鍛造援用の手法をより積極的に利用することによって,さらに効果的・合理的に曲げ角度およびスプリングバックの制御ができると考えられる.■そこで本研究では,ff■■ダイと不整合のパンチを用いた■曲げとその後の板鍛造によるスプリングバックの抑制効果,ff ■板鍛造を援用した■曲げにおけるスプリング抑制効果への材料特性の影響および■■■解析を用いたスプリングバック抑制効果のメカニズムの検討を行った. 2.板鍛造を援用したV曲げ時の曲げ角度およ■ ・■■板鍛造援用によるスプリングバック抑制法に関する基本コンセプト■■■曲げ加工後にパンチを押し込むことによって,曲げ角度を設計した角度に近づける方法は「決め押し」と呼ばれており,広く用いられている.この「決め押し」に関しては,ボトミングやコイニングと呼ばれる方法がある.このうち,コイニングは主にダイ底の素材にパンチを押込む加工,ボトミングはダイ底部の隙間にダイ底の素材を押出す加工として捉えることができる,しかしながら,これら「決め押し」に関する詳細なメカニズムは明らかにされていない.基本的には,いずれの場合もスプリングバック抑制は曲げ部の板厚方向に荷重をかけることによって,曲げ部内側の圧縮応力と外側の引張応力を減少させることによって生じると考えられているのが現状である■■■.■一般にスプリングバックの抑制は除荷前の弾性状態に京都工芸繊維大学■機械工学系■(平成 ■年度一般研究開発助成■■■ ■■■■■■) 准教授■飯塚高志■■依存すると説明することができるが,底部の鍛圧によって生じる材料流れやそれによって生じる形状変化と関連付けて説明しようとする試みは少ない.これについて考えてみると,例えばボトミングでは曲げ後にパンチによってダ底部の材料にパンチを押し込む加工を施すが,この時ダイ底部の素材に塑性変形を与えることが重要と考える.パンチ押込みによる塑性変形は板厚方向への一軸圧縮変形になると考えられることから,パンチ底部の材料の変形は「曲げ」から「据込み」へと移行すると考えらえる.この据込み加工は板厚方向に一様な変形となるため,この変形だけを見れば除荷後の曲げ角度の変化を生じない加工であると考えられる.■一方,ボトミングに関しては,一般にダイ中央部の隙間に材料を押し出す加工と考えれば,「曲げ」から「押出し」へ加工形態が変化することになる.この押出し加工は,板厚方向に一様な板長手方向の平面ひずみ圧縮変形に近いと考えられることから,やはり板厚方向に一様な変形となり,この変形だけを見れば除荷後の曲げ角度の変化を生じない加工であるといえる.したがって,「決め押し」によるスプリングバック低減は,引張曲げや圧縮曲げのような曲げ加工中の応力状態を調整することによるものではなく,曲げ加工後の塑性加工形態の変化によって引き起こされていると考えることもできる.■このような観点から,曲げ加工後に曲げ部に鍛圧(板鍛造)を施し,材料を流動させる(塑性変形させる)ことができれば,「曲げ」から「板鍛造」へと加工形態が変化し,これによってスプリングバックを抑制できる可能性があると考えた.また,この「板鍛造」の方法については,恐らく「据込み」や「押出し」に拘る必要はないものと考えられる.そこで,本研究では,まずダイと曲率が不整合のパンチを用いることによって,材料に流れる空間を与え,そこに板鍛造によって材料を流すことによって,「曲げ」から「板鍛造」に加工形態を変化させることでスプリングバックを抑制する可能性について検討した.■■ ・ ■実験方法■図■に実験装置の概略を示す.パンチとダイをダイセットに設置し,ダイセット上部にオートグラフff島津製作所- 40 -T. Iizuka型曲げにおける板鍛造援用による曲げ角度および 型曲げにおける板鍛造援用による曲げ角度およびスプリングバック制御メカニズムの解明飯塚 高志*キーワード:V曲げ,板鍛造,スプリングバックReview
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