■■■■引張せん断強度と十字引張強度の比今回の実験で用いた陽極酸化A1100とA5052の引張試験を行ったところ,引張強度は陽極酸化A1100は約130MPa,A5052は約230MPaであった.このように陽極酸化A1100は,A5052に比し母材強度が低位であるため,得られた強度そのものの比較はできない.そこで,これ図6陽極酸化A1100/GA接合材のツール押込量と接合強度の関係図7A5052/GA接合材のツール押込量と接合強度の関係までに得られている摩擦アンカー接合継手の引張せん断強度と十字引張強度の比をグラフ化したものを図8に示す.鋼突起が図1に示すように球面ツールに沿って細く長く伸びた形状を呈した場合は,十字引張強度の引張せん断強度に対する比は0.6~0.8になることが分かる.これに対して,A5052/GA継手の場合は,その比が約0.3と非常に低位となっている.一方,今回得られた陽極酸化A1100/GA継手は約0.45となっている.これは,鋼突起の高さ及び形状が改善され,鋼突起近傍の金属間化合物生成が抑制されたことに起因するものと推定している.図8各種摩擦アンカー接合継手の引張せん断強度と十字引張強度の関係■■■窒化珪素の耐久性評価図9にレーザ変位センサーで測定して得られたSPCCの窪み測定結果の一例を示す.本研究では,図中の斜線部分の面積を求めることで摩耗の状態を定量化した.その結果を図■■に示す.なお,図■■の窪み部断面積は,各測定時の断面積を第1打点目の断面積で除し,規格化した値を示している.図■■より,開発した窒化珪素球(材種T)の耐久性が他の材料に比し高いことが分かる.次に,市販材で最も耐久性の高かった材種Aと開発材(材種T)を用いて得られた接合材の引張せん断試験結果を図■■に示す.図■■より,材種Aではツールの摩耗に伴い引張せん断強度が顕著に低下しているのに対して,開発材(材種T)では1000打点後もほとんど低下しないことが分かった.図■■各種窒化珪素球の打数と窪み部断面積の関係図■■材種T,Aの打数と引張せん断強度の関係図9窪み測定結果の一例- 29 -
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