図14焼鈍時間に対する平均粒径の変化図12焼鈍後(600℃1分)のIPFマップの比図13粒径分布の比較ff■■切屑試験片図■■に焼鈍時間に対する平均粒径の変化を示す。粒成長は1分で終了し,切屑試験片は平均粒径約5𝜇𝜇𝜇𝜇,圧延試験片は平均粒径約10𝜇𝜇𝜇𝜇で飽和している。また切屑試験片の粒径の標準偏差は圧延試験片の粒径の標準偏差より小さい。(b)圧延試験片切削試験片に加えられた塑性ひずみは圧延試験片に加えられた塑性ひずみより小さいにもかかわらず,均一で微細な再結晶粒径が生成したことになる。両者の熱処理条件は同じなので,切削加工の方が結晶粒微細化効果が大きかったと言える。これは図8,図9に示された変形組織の違いに起因していると考えられる。切削加工では結晶粒内に多数の亜粒界が生成され,そこから再結晶核が発生し,同時に多数の再結晶粒が成長したことにより,均一で微細な再結晶組織が生成されたと推察される。このように塑性ひずみの大小だけでなく加工方法が再結晶粒の生成状況に大きく影響している。微細変形組織の違いが生じた原因として,①変形域の寸法の違い,②変形温度とひずみ速度の違い,③変形様式の違いが考えられる。①変形域の寸法の違い:図■■に示すように,切削加工では薄い剪断面で集中的な剪断変形が起こる。加工前の試験片を■■■■分析したところ平均結晶粒径は約80µmであった。一方,一般の切削条件における剪断面の厚さを本実験に当てはめると約24µm程度と推定された。剪断面の上下は弾性域であり,結晶粒径より薄い剪断面内で大きな剪断変形が生じるため,結晶粒内が均一に塑性変形すると考えられる。それに対し圧延では,変形域が結晶粒より遥かに大きく結晶粒界でのすべり変形が生じ,結晶方位の回転が生じることが知られている。このため圧縮応力に対するテイラー因子の大きい結晶粒が優先的に変形し,テイラー因子の小さい結晶粒の変形が遅れ,結果的に結晶毎にひずみが不均一になると考えられる。- 13 -
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