ssenhguorecafruSmμ[ssenhguorecafruSmμ[ 90 45 10 0 -10 ]]0055 45 10 0 -10 図14■円筒面へのレーザ照射後の表面粗さ測定結果 ■・■■ミスト供給方式レーザ誘起湿式表面改質処理法 これまで取り扱ってきた浸漬方式(導入したい成分を含■3.3項では,デフォーカス量を変化させ,レーザエネルギ密度を低下させることで,形成される改質層の厚さが減Laser iiradiationangle[deg]6070802.5Traveling along traverse length [mm](b) デフォーカス補正有り Laser iiradiationangle[deg]708090602.5Traveling along traverse length [mm](a) デフォーカス補正無し 807060457.510708060457.510少することを明らかにしている.このとき,エネルギ密度の低下に伴い,被処理面の表面粗さも低下した.レーザ照射角を変化させてレーザ照射を施した被処理面の表面粗さも低下しており,形成された改質層の厚さも低下していることが推測される.レーザ照射角が連続的かつ不規則に変化するような複雑形状を有する被処理物に対して,レーザ誘起湿式表面改質法を適用し,均質な改質層の形成を試みる場合には,照射角とともに変化するレーザ吸収率の変化に合わせ,試験片表面に入力されるエネルギ量を均一に保つ手法が必要である.デフォーカス量と形成される被処理面の表面粗さの相関を示した図12から,同等の表面粗さを有する被処理面を形成可能なデフォーカス量を読み取ることができる.図13に被処理面の算術平均粗さRaが0.8 μm程度(図12中破線)となるデフォーカス量をプロットした結果とプロット点から求められる近似曲線を点線で示す.求められた近似曲線の方程式を式(1)に示す. D = 0.0003θ2 – 0.0235θ + 0.915 (1) 式中のθはレーザの照射角,Dは各照射角において被処理面のRaが0.8 µmとなるデフォーカス量である.複雑形状に対応する場合には,レーザが照射される箇所の照射角θを式(1)に代入することで求められるデフォーカス量Dとなるようレーザの焦点位置を調整しながら処理を施すことで,均質な改質層を形成することができると考えられる. ■■・■■円筒面に対する改質処理■■円筒形状を有するSUS316L材に対して,前項で求めた補正式により求められるデフォーカス量となるよう走査経路を補正してレーザ照射を施した.図14にレーザ照射後の被処理面に対して表面粗さ測定を行った結果を示す.なお,同図には補正を行わず,一定のデフォーカス量でレーザ照射を施した結果についても示した.同図(a)より,補正を行っていない試験片の表面粗さは均一ではなく,レーザ照射角が90 degとなる円筒の頂点付近で最も大きく,頂点から離れ,レーザ照射角が減少する部位では,表面粗さが低減していることがわかる.一方,図14(b)より,デフォーカス量の補正を行ってレーザ照射を施した試験片の被処理面は比較的均一な表面粗さが得られており,補正の効果が見られた. む溶液中に浸漬させた基材に対してレーザ照射を施す方式)のレーザ誘起湿式改質法は,導入元素を安定的に供給できるため,改質層形成メカニズムの解明や各パラメータが改質層に及ぼす影響などを検討する場合には有用な手法であると言える.しかし,歯車やクランクシャフトなどの機械部品は複雑な形状を有しており,浸漬方式を用いることを想定すると,被処理材の形状に合わせた専用の溶液浴が必要であること,さらに溶液中にて被処理材を回転および揺動させる機構を付加しなければならないことなど課題が多い.そこで,実製品に適用するため,溶液をミスト状にして供給するミスト供給方式を考案した14), 15).構築したミスト供給システムの概略を図15に示す.同図中のコンプレッサから排出される圧縮空気はノズル内で溶液と混合され,突出されることにより溶液をミスト状にしてレーザ照射領域に供給することが可能である.このとき,溶液は試験片表面上を直径100~200 µm程度の水滴となって連続的に流れる.この表面改質処理システムは,マシニングセンタや複合旋盤などの工作機械に容易に搭載可能であるため,従来の製造プロセスに組み込み,複合的なプロセスの構築が可能である. 図16にミスト供給システムを用いて,オーステナイト系ステンレス鋼SUS316L材に対して,濃度10 mass%のAl(NO3)3水溶液ミストを供給しながら,出力9 W,走査速度50 mm/min,デフォーカス量1 mmとしてレーザ照射を施した被処理面の断面に対してSEMによる観察およびEDX分析を行った結果を示す.なお比較として,従来の浸漬方式により処理を施した試験片断面の観察・分析結果についても示した.ここでは,ミスト供給方式で処理を施した試験片をMDシリーズ,浸漬方式により処理を施した試験片をSDシリーズと呼称する.同図より,溶液の供給方式とは無関係に,表面近傍のレーザ影響部には,AlおよびO成分を含む均質な層が形成されていることがわか- 102 -
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