FORM TECH REVIEWvol29
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]aPM[ sserts eurT 00000000 ]aPM[ sserts eurTr値は板厚方向ひずみに対して板幅方向ひずみが相対的に大きくなると増加する.室温から100°Cまでの温度上昇に対して,r値及び延性が増加する要因は板幅方向ひずみに寄与する柱面すべり系の活動が促進されて生じたと考えられる.一方で,200°C以降の温度域では錐面すべり系の活動が促進され,板幅方向ひずみに対して板厚方向ひずみが相対的に大きくなり,r値の低下に至ったと考えられる. ]aPM[ sserts eurT]aPM[ sserts eurT図5■各温度域での真応力-対数ひずみ関係 との真応力-対数ひずみ関係より,試験温度を上昇させることで加工硬化が抑制されて延性が増加することがわかる.試験温度300°Cでは,ほとんど加工硬化を示さないことが確認できる.図6に示すr値-対数塑性ひずみ関係では,全試験温度域において,対数塑性ひずみの増加に伴いr値も増加する.本供試材だけでなく,他のAZ系Mg合金板においても,与えるひずみによってr値が変動する可能性が高く,従来Al合金板等で行われてきた任意のひずみでのr値評価は意味をなさないと言える.また,r値の絶対値については,室温から100°Cまでは増加するが,200°Cからは僅かに低下し,300°Cでは徐々に1に近づく傾向である.300°Cでのひずみの増加に伴うr値増加率は,他の試験温度条件よりも低下傾向である.Mg圧延材の一般的な圧延温度である350°C付近では,r値がおよそ1の値を保ち,等方的に板材が変形していくことが推察される. ■■ ■相対活動度による検証 実験結果に良好な一致を示した材料パラメータ値を表2に示す.前節で示したAZ61Mg合金板の温度依存性に関する変形機構を解明するため,各すべり系及び双晶系の活動について表2のパラメータ値を用いて解析を行う.これらの活動を表す指標として,次式で与えられる相対活動度𝑟𝑟𝑖𝑖9)を使用する. 𝑟𝑟𝑖𝑖=∑∑|∆𝛾𝛾(𝑛𝑛,𝑘𝑘)|𝑛𝑛𝑘𝑘ここで,右辺の分子は,各すべり系もしくは双晶系𝑖𝑖に生じたすべり量を総結晶粒数𝑛𝑛について総和をとったものであり,𝑘𝑘は各すべり系もしくは双晶系𝑖𝑖の数である.まべり量を総結晶粒数𝑛𝑛について総和をとったものであり,𝑗𝑗はすべてのすべり系及び双晶系の数である. た,分母は,すべてのすべり系および双晶系に生じたす解析によって算出された各温度条件での相対活動度を図7に示す.本解析結果においても,前節で示した考察を裏付ける傾向が得られている.試験温度の違いによるr値の増減については,本研究で決定した材料パラメータ値によって説明することが可能であるため,実際の板材が有する変形機構について表現できていると考える.従って,本同定手法を用いることで,より実現象に則したパラメータ値を決定することが可能となる. (6) 350300250200150100503503002502001501005035030025020015010050350300250200150100500.020.040.060.080.10.120.140.16Logarithmic strain0.020.040.060.080.10.120.140.16Logarithmic strain0.020.040.060.080.10.120.140.16Logarithmic strain0.020.040.060.080.10.120.140.16Logarithmic strainRT_1RT_2RT_3Simulation100°C_1100°C_2100°C_3Simulation200°C_1200°C_2200°C_3Simulation300°C_1300°C_2300°C_3Simulation- 55 -∑∑|∆𝛾𝛾(𝑛𝑛,𝑗𝑗)|𝑛𝑛⁄𝑗𝑗

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