FORM TECH REVIEWvol29
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0i0■■ ■ 図13■雰囲気条件によるレーザー穴加工の結果 ■5.まとめ・考察 mµ / htpeDmµ /retemaDoitar tcepsA21.81.61.41.210.80.60.40.20(c)アスペクト比 (b)穴深さ 本実験では間欠照射間の冷却時間は十分であるため,間欠照射中の熱の蓄積と,それによって生じる対流が影響している可能性がある.そこで,間欠照射パルス数を変えて加工結果の比較を行った.本実験では,入射パルスの総数27000発に固定した. その結果,条件3のとき10発,条件6のとき5発,条件9のとき20発の間欠パルス数において,最もアスペクト比が高い加工ができた.穴深さについては条件3のとき10発,条件6のとき50発,条件9のとき20発の時最大となった.また,条件3が最も高いアスペクト比と穴深さを得ることができた. ff■■穴径■これは,雰囲気条件によって対流の起こりやすさが異なり,対流がレーザーを阻害し始めるまでの時間が異なるためだと考えられる.そして,対流の悪影響を避け,加工穴に効率的にレーザービームをカップリングできる条件を整えれば,穴内対流の効果により,より効果的な深穴加工が可能となることを示している.なお,条件6は条件3より更に対流が起こりやすく,本実験条件の範囲では対流の阻害を防ぐ条件が無かったものと考えられ,パルスエネルギー等を変更して最適条件を探索する必要がある.また,理論でも述べたように,これらの雰囲気条件は,加工による穴形状の変化に応じて変えていく必要もあり,実際に穴加工が進展すると,加工穴から噴出する対流が観察されなくなる.■最後に,二酸化炭素中の各温圧条件における最良の結果を空気中での加工結果と比較した結果を図■■にまとめる.図■■ff■■に開口部の穴径,図■■ff■■に穴深さ,図■■ff■■にアスペクト比をそれぞれ示す.これらの結果より,二酸化炭素の雰囲気条件中では,穴径,および穴深さが,空気中に比べ,最大でそれぞれ■倍,および■■ 倍となっており,除去能力が向上していることがわかる.アスペクト比も■倍近く上昇しており,明瞭に効果が確認された.ただし,条件■の効果に関してはまだ最適化する必要があり,加工の動態観察からは,加工穴外の対流に阻害されている様子が確認された.Lighthillの対流の理論に基づくと,本条件では,より深い穴において,効果を発揮すると思われる.■また,本研究の意義は,不透明材料の超臨界二酸化炭素中におけるレーザー加工の加工技術としての可能性を実験的に見いだせた点である.当初,超臨界状態ではない条件9でも,同一加工条件の空気中加工に比べて数倍の深穴加工が可能であることは容易に確認できたが,これはあくまで気体に近い環境であり,超臨界状態以上の温度,圧力下での効果が長らく確認できなかった.その理由は,条件3,6のような超臨界二酸化炭素のもつ極めて複雑な対流である.超臨界流体は気液界面が存在しないが,密度が急激に変化するWidom lineとも呼ばれる境界が存在し,流体の温度勾配により密度はもちろん,流体物性にも大きな不均一を生じるため,流れが乱れやすくレーザー加工が難しかった.しかし本研究で加工条件を最適化することで,従来の成果を上回る成果が超臨界二酸化炭素で得られたことは大きな成果であり,穴内の対流や屈折率分布も明らかに認められた.しかし,未検証のパラメーターはまだ多く残っていおり,今後は,例えばパルス幅や1パルスあたりのエネルギーなどをパラメーターに加え,最適な加工条件をさらに探索することが課題となる.そして,最終的にこれらの加工条件を連続的に変えながら加工を行うことにより,理論に迫るより深い穴あけ加工の実現を目指す. また,本実験によって明らかになった,超臨界流体中の加工現象の特徴は,加工に関係する流動として,加工初期条件3条件3条件3条件6条件9空気中条件6条件9空気中条件6条件9空気中4504003503002502001501005035030025020015010050- 103 -

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