FORM TECH REVIEWvol28
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■ ■ ■   ■ ここで,P はレーザ出力[W],v は走査速度[mm/s],s は走査間隔[μm],t は積層厚さ[μm]である.■図3に示すように造形物は1辺5mmの立方体である.レーザ出力の上昇に伴いレーザスポット径が若干大きくPvst■E[/] 積層造形を行う上で加工条件を定量的に評価するためにエネルギー密度という指標を用いた9).エネルギー密度Eは単位体積あたりに与えられる全エネルギー量であり(1)式によって定義される. 積層造形では高いエネルギー密度を用いた場合に,レーザ照射時の熱膨張とその後の急激な熱収縮により焼結物が反り返る問題が発生する.筆者らのこれまでの研究ではレーザの走査方向を交互に変え,また積層ごとにその方向を直交方向に変えるなど,均一な加熱とし,反りの発生を抑制してきた.しかし,このような方法では限界があり,エネルギー密度25.9J/mm3を超える照射条件ではそりが発生したため積層造形を行うことはできなかった.そこで,エネルギー密度25.9J/mm3を超える加工条件では積層厚さが300μmになるまで,一片が3mm矩形のサポート部を試験片4隅に設けることで,試験片最下層と土台との結合力を高め,反りの発生を抑制した.ところが,サポートの結合力にも限界があり,エネルギー密度が77.7J/mm3を超える加工条件ではサポート部が剥がれ,焼結物を製作できなかった.そこで,今回の実験ではエネルギー密度153.3J/mm3の加工条件で行った実験に関しては,新たに積層造形機構を製作し,加工ユニット底面に内蔵したヒータを用いて試験片が接する底面を473Kに加熱した. 以上のレーザ照射条件を表1にまとめて示す.以下に示す実験結果は,同一条件下で行った6つの試験片の平均値である.  ■ ■ヤング率の測定 等価ヤング率は万能材料試験機(島津製作所社製,Auto–Graph AG–25TD)による圧縮試験によって求めた.図4には,公称応力–公称ひずみ線図の例を示す.圧縮試験では,まず1kNまで圧縮した後,0.1kNまで除荷した.次に2kNまで圧縮した後,0.1kNまで除荷した.この工程を10kNになるまで繰り返し.ヤング率は除荷開始後の10%のデータを用い,近似直線を作成し,その近似直線の傾きから算出した. なるので,その場合造形精度は悪化すると考えられる.今回は,6.8,11.5,21.9および30.1Wのレーザ出力で焼結実験を行った.寸法誤差は造形物の幅を測定することで調べた(図5).図中のプロット点は4つの造形物を測定し図7■等価ヤング率と圧縮試験荷重の関係 図8■圧縮ひずみと圧縮試験荷重の関係 3.実験結果■■■■■・・・ff■■■た平均値である.図より,レーザ出力の増加に伴い若干造形精度が悪化しているが,寸法誤差は0.45 mm以内に収まっていた.インプラントの許容寸法精度は0.5mmともいわれている10)ので,焼結後の後加工なしで製品化でき図9■圧縮荷重10kN時の等価ヤング率と充填率の関係 Jmm32- 90 -

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