FORM TECH REVIEWvol28
91/112

表1■レーザ積層造形条件とエネルギー密度 ■ 走査ピッチ くすみ,この分野におけるAMの利用拡大はより一層進むであろう. 図4■焼結試験片の圧縮試験と等価ヤング率の定義 試験片名 レーザ強度 P [W] 6.8 6.8 6.8 6.8 6.8 6.8 6.8 11.5 21.9 30.1 筆者らがSLSにより試作した頸椎の椎間板インプラントを図1に示す.後加工無しでも,設計通りの寸法と形状に仕上がっている.微細なマイクロポーラス構造を有するために早期固定性も期待できる.しかし,強度的にはまだ改善の余地がある.現在この椎間板インプラントはプラスチックや金属で作製されているが,プラスチックでは強度的に弱い場合があり,また金属では応力遮蔽の問題が生じる恐れもあるので,両者の中間の機械的性質を持つ,より良いものが求められている. チタンのヤング率は100 GPa以上であるが,骨のそれは0.5~30 GPaである.そこで,チタン製インプラントを低出力レーザによる多孔質体にすることによって造形物の等価ヤング率を骨のヤング率まで下げることが当面の目標である. 本研究ではインプラントの機械的性質を改善するために,50Wレーザ照射装置を用いて最適なレーザ照射条件について検討を行った. ■本研究で使用した積層造形装置の概略を図2に,積層条件を表1に示す.小スポット径レーザ照射装置には,ミヤA B C D E F G H I J 走査速度 v [mm/s] 50 50 50 100 150 50 50 50 50 50 s [μm] 35 70 105 35 35 35 35 30 35 35 積層厚さ t [μm] チテクノス社製のYAGレーザマーカML–7064Aを使用した.レーザ出力は最大で50Wで,レーザスポット径は90μmである.この装置はレーザ制御ユニットとレーザ走査ヘッドユニットで構成されており,ダイオードレーザ(LD)を励起光源とした,スキャニング方式のレーザマーキング装置である.実験においてレーザは連続発振とした. 積層用の金属粉末として最大粒径38μmの工業用純チタン粉末を使用した(図3).レーザ照射によるチタン粉末の急激な酸化・燃焼を防ぐために,加工スペース内の酸素濃度を0.1vol%未満のアルゴン雰囲気とした. エネルギー密度 図5■焼結試験片の寸法精度 図6■エネルギー密度と充填率の関係 E [J/mm3] 50 50 50 50 50 100 150 50 50 50 77.7 38.9 25.9 38.9 25.9 38.9 25.9 153 250 344 加工ユニット温度 T [K] - - - - - - - 473 473 473 2.実験方法■■ ■■■試作した積層造形装置と積層条件■- 89 -

元のページ  ../index.html#91

このブックを見る