図3純チタン粉末と積層造形物削削除除ししなないいででくくだだささいい■加工と言えば切削や研削などの除去加工が一般的である.これに対して,3Dプリンタに見られるようにCADデータに基づき粉末材料を薄く積層することで,最終的に直接製品を製造する付加加工(AM: Additive Manufacturing)が盛んに行われるようになってきた■■■■.出発原料は金属粉末であっても,高出力レーザ(200W~400W)を使うことでほぼ100%密度の部品も製作可能となっている.この技術はSelective Laser Melting, SLMと呼ばれ,航空宇宙や自動車およびバイオ関係で利用されている.特に,バイオインプラント製造では,患者固有の寸法に合わせて製造できることが期待されている.さて,我が国では高齢者人口の比率は2055年までに40.5 %に達すると予測され6),骨粗鬆症をはじめとする骨関節疾患の患者数も急激に増加している.この治療には,人工物のインプラントが多く用いられる.求められる機能としては,(a)患部の複雑な三次元形状に対応できること,(b)骨との早期固定性が高いこと,(c)骨と機械的性質(ヤング率など)が近いこと,の3点が挙げられる.ここで,早期固定性向上のために,インプラント内部に微細構造を持ち,骨誘導を促すことが望まれる7).AMは課題(a)には十分対応可能である.また,課題(b)と(c)に対応するために,ストラット構造で内部に多数の小さな空洞(0.5mm~1mm程度)を設けた構造にすることが精力的に研究されている8).しかし,空洞を0.5mm以下にすることは難しく,高くても7GPa程度のヤング率にとどまっているようである.上記以外に金属の高いヤング率を低下させる方法として,焼結時に密度100%の緻密体とならないように,低出力レーザを用いて焼結体充填率を下げる方法も考えられる.しかし,このような方向の研究例は現在のところあまりないようである.金属粉末を完全に溶融させるSLMに対して,この方法はSelective Laser Sintering, SLSと呼ばれる.腰椎では上半身の体重を支えなければならないが,頸椎ではそれほど過大な荷重が作用しない.このようなところであれば,焼結体の充填率が低いインプラントでも適用可能と考えている.充填率が低いインプラント材にSLSの適用が可能となれば,使用するレーザ発振器の価格も安写写真真位位置置■1.研究の目的と背景*新潟大学 自然科学系(工学部) 教授図1試作した頸椎の椎間板インプラント図2積層造形装置の概略(a)装置外観(b)粉末供給部I. Nitta- 88 -3次元レーザ積層造形による3次元レーザ層造形によるバイオインプラント材の作製技術バイオインプラント材の作製技術新田 勇*新田勇Review
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