面の場所のそれぞれでEDS分析を行った結果を示す.図6に示した点に対して,その対応するEDS分析結果が表3にまとめられている.これらの結果から,Al側のデンドライト状の組織はFeAl3で,界面に沿って薄いFe2Al5の数μm程度の薄い層が存在していることがわかる.鋼側はFeAlやFe3Alの混相が,10μm~20μmの範囲で存在しているようである.さらに鋼側になるとAlのmol分率が20%以下の広い領域が存在しており,これが低倍率で観察され たレーザ照射の影響領域の組織と考えられる.この領域は金属間化合物を形成しているのではなく,AlがFe内に拡散・固溶した状態となっていると考えられる. 3.鋼/アルミニウム突合せレーザ接合材の成形性および破断部の状態 ■■■■■加圧突合せレーザ接合材の成形性試験■■■ここでは,SPCCとA1100-Oを対象に引張試験および代表的な成形性試験を行った結果を紹介する.レーザ接合は表3に示した条件で実施した.図7(a)に示すように,幅 90mm,長さ44.5mm,板厚1mmの鋼板とアルミニウム板を加圧突合せレーザ接合し,90mm×89mmの接合材を作製した.接合材について,入り口側および出口側から5mm幅の領域を除外し,残った80mmの板について10mm幅の試験片を作製し,接合強度および全伸びの分布を調べた結果を図7(b)に示す.図より,レーザ入射側からおよそ30mmの領域までは強度が低いものの,それ以降はほぼ一定で80MPa程度の強度を持っていることが確認できる.一方,全伸びについては,80MPa以上の強度上昇に対して非常に敏感に変化し,今回の条件ではせいぜい数%程度であることが確認できる. ■接合板に対して,深絞り試験,エリクセン試験および接合ビードに平行な引張試験を実施した.深絞り試験に関しては,レーザ照射出口側の板端から10mmの位置に円板の端が来るように試験片を切り出した.エリクセン試験には接合板をそのまま用い,引張試験には接合ビード部を中心とした幅10mmの短冊状試験片を用いた. ■深絞り試験で得られた容器,エリクセン試験後の試験片および引張試験による破断試験片の様子を図8に示す.深絞り容器は鋼側の絞り量が小さくなるため,アルミニウム側で側壁が高くなった.エリクセン試験では,パンチ中央の界面に沿った割れが生じた.引張試験では,図9に示すように,ビード部で点状の破断がいくつか生じた後,その中の一つを起点にして,アルミニウム側でくびれから破断が生じた.その後,鋼側で伸びが継続するものの,やがてくびれから破断を生じるという結果となった. ■成形性試験の結果をまとめると表4のようになった.深 ■ - 82 -
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