図4には,パルス周波数を200Hzに固定し,3種類の平均レーザ出力で加圧力を変化させてピーク接合強度を求めた結果を示す.図より,無負荷の状態に比べて20MPa程度で一度極大を迎えた後,加圧力を大きくするとやや減少する傾向を示すことがわかる.出力不足(200W)の場合を除いて,加圧力60MPa程度から再び上昇傾向へ転じ,最終的に母材強度を上回る90MPa程度まで達することが確認できた. ■ ■■■接合部の微細構造■■■■鋼/アルミニウム合金のレーザ圧接では,接合界面に薄い金属間化合物層が形成されることが知られており,その■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ で高い接合強度が得られることが確認できる. 図6および表2に複雑な界面構造の場所および平坦な界 ■図2に得られた接合材の外観を示す.接合材は鋼側にレーザ照射痕が見られ,溶接材に似た外観となっていることがわかる.接合強度の評価には,図1(d)に示すような接合界面に垂直な方向への引張試験を用いた. ■ ■ ■加圧突合せレーザ接合特性■■■■ここでは,SPCCとA1050-Oの加圧突合せレーザ接合特性を紹介する.表1に主なレーザ接合条件を示す.平均レーザ出力やパルス周波数,レーザ移動速度といった通常の炭酸ガスレーザの加工条件に加えて,レーザ照射位置と加圧力が重要と考えられる.また,その他にも接合に影響を与える重要なパラメータはあるが,非常に多岐に渡るため,ここでは表1に示した条件に固定した結果を示す. ■平均レーザ出力,パルス周波数,レーザ移動速度は互いに影響を及ぼし,またレーザの加工条件としては最も重要と考えられる.そこで,レーザ移動速度を600mm/minに固定し,平均レーザ出力およびパルス周波数を変化させて,各条件でレーザ照射位置について最大となる接合材の接合強度(ピーク接合強度)を等高線(マップ)として表した結果を図3に示す.ただし,加圧力は31MPaとしている.接合強度は最大で80MPa以上で,A1050-O母材の引張強度に匹敵するものとなった.接合強度は平均レーザ出力で400W~600W,パルス周波数で200Hz~300Hzの領域 ■厚さが接合材の強度に大きく影響すると言われている.金属間化合物の中でも,FeAl3とFe2Al5といったAlリッチの金属間化合物が特に脆性的で脆弱と考えられている. ■ここでは,80MPa程度の接合強度を有する接合材の接合界面について,FE-SEMとEDSを用いて観察・分析した結果を示す.まず図5に×80~×1500の3つの倍率で観察した様子を示す.低倍率(×80)の観察結果では,この倍率で明瞭な金属間化合物層が確認できないことがわかる.ただし,接合界面から鋼側0.5mm程度範囲でやや灰色の領域が存在することが確認できる.この領域はレーザ照射による影響範囲(加熱・溶融が生じる範囲)である. 中倍率(×500)では,接合界面の一部に濃い灰色の薄層があること,および界面構造が複雑な場所の存在を確認できる.この領域を拡大した高倍率(×1500)の観察では,数μm程度の金属間化合物層とその周りにデンドライド状の化合物が存在することが確認できる.デンドライト状組織の存在は溶融したことを示すものであるが,界面が入り組んだ状態の限られた箇所でのみ観察されたことから,固相接合に近い接合が達成されていると考えられる. - 81 -
元のページ ../index.html#83