鋼/アルミニウム合金のテーラードブランク成形技術の開発においては,主に三つの課題がある.まず,「鉄/ア削削除除ししなないいででくくだだささいい輸送機器の軽量化が二酸化炭素排出量の削減や燃費向上のために求められており,マルチマテリアル化やテーラードブランク成形技術の適用などが実際に進められている.アルミニウム合金は軽量かつ高強度であるため,鋼/アルミニウム合金のテーラードブランク成形の技術開発が進められているが,未だ実用化には至っていない.ルミニウムの系が脆弱な金属間化合物を生成しやすいこと」が第一の課題である1).このような場合,溶接は困難となり,摩擦撹拌接合のような固相接合2), 3)やリベットなどの機械的な接合4)が有効となる.実際に摩擦攪拌接合を用いた突合せ鋼/アルミニウム合金の接合に関しては,高い接合強度が得られており,テーラードブランク成形技術の発展が期待できる状況に来ている.一方,レーザ溶接に関しても,沓名ら1)および西本ら5)がロール圧接を利用して高強度な重合せ接合を可能にするなど,さらなる発展が期待できる状況にある.しかしながら,テーラードブランク成形に適した突合せレーザ接合に関しては,Sepoldら6)によるブレイジングに関する報告を除いてほとんど見られない.そのような状況で,本研究室では加圧装置を併用して鋼/アルミニウムの突合せレーザ接合を試み,直接素材同士を突合せ接合する技術が開発できている7).二つ目の課題は,板材成形において非常に重要な因子と考えられている「変形抵抗や加工硬化挙動,集合組織の大きな違い」にある.これまでは接合法自体の開発が中心であったため,成形性に関する研究例8)はまだ非常に少ない状況にあり,基本的な特性から把握していく必要がある.三つ目の課題は「電食」の問題である.仮に上記二つの課題が解決できても,耐食性を向上させることは難しいと考えられる.現状では,実際の接合材に関する電食性に関する報告はほとんど見られず,耐食性の向上の前にまずは電食特性を把握することが必要な状況である.そこで本研究では,鋼/アルミニウムの突合せレーザ接合材に関して,上述の三つの課題についてそれぞれ接合界面の微小構造の観点も含めて研究・調査を行った.ここではこれまでに得られた結果の一部を簡単に紹介する.写写真真位位置置■1.まえがき*京都工芸繊維大学 機械工学系 准教授2.鋼/アルミニウム突合せレーザ接合材の強度および界面の状態 ■■加圧突合せレーザ接合方法炭酸ガスレーザ加工機に図1(a)に示す加圧突合せ装置を併用することで,鋼板/アルミニウム(合金)板のレーザ接合を行った.図1(b)に示すように,鋼板を試験片が1.5mm突き出した状態となるように固定ホルダに固定し,対向する可動ホルダに,同様に1.5mm突き出した状態でアルミニウム板を固定する.可動ホルダはエアシリンダによって固定ホルダに所定の荷重となるように押し付け,加圧した状態でレーザを鋼側に照射する.レーザ照射位置は接合において最も重要なパラメータの一つである.炭酸ガスレーザはアルミニウム側でほぼ反射されてしまうため,図1(c)のように基本的に鋼側にレーザを照射し,熱伝導によって接合界面を加熱し,固相接合に近い状態で接合を行う.T. Iizuka- 80 -鋼/アルミニウムの突合せレーザ接合材の鋼/アルミニウムの突合せレーザ接合材の接合界面の微小構造と成形性接合界面の微小構造と成形性飯塚 高志*飯塚高志Report
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