FORM TECH REVIEWvol28
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■■■図6 レーザー照射走査速度が初期腐食速度に与える■ ■レーザー照射を利用したMg合金の耐食性向上の試みはこれまでに幾つか報告されているが8-10),そのレーザー出力は400 W以上と比較的高いことが特徴として挙げられる.これは短時間・高出力というレーザーの特徴を活か図4 レーザー走査速度50 mm/sおよび200 mm/sでの照射後の表面の薄膜X線回折図形.入射角度は1o. 図7■レーザー走査速度(a) 50 mm/sと(b) 200 mm/sで表面処理した試料の腐食試験後の表面観察光学顕微鏡像. ■図5 研磨まま表面、飽和Mg(OH)2水溶液浸漬処理表面、レーザー照射表面(レーザー走査速度50 mm/sと200 mm/s)のX線光電子分光分析結果.O1sスペクトルを示す. ■■■ ■レーザー照射条件が腐食挙動に与える影響■■レーザー照射表面処理材の腐食速度を,塩水浸漬試験により測定した.結果を図6に示す.レーザー走査速度は50-100 mm/sが適当であることがわかった.また,レーザー照射前の飽和Mg(OH)2水溶液浸漬処理の時間も5分,10分,15分と変化させて調べたところ,アルカリ溶液浸漬を10分以上行うことで,レーザー走査速度範囲を拡げることができることもまた明らかとなった. ■図7(a, b)にレーザー走査速度50 mm/sと200 mm/sで表面処理した試料の腐食試験後の表面観察光学顕微鏡像を示す.レーザー走査速度50 mm/sで処理した試料の表面には孔食がみられる程度であるが,200 mm/s処理材の表面には,多数の糸状腐食が観察された.レーザー照射によるMgO皮膜形成は,糸状腐食の発生およびその進展を抑制する効果があることが明らかとなった. 影響. し,表面近傍を部分溶融させた後の急冷効果により,微細な結晶粒を得ることを目的としていた.組織の微細化はMg合金組織の電気化学的均質性を高めることから耐食性が結果として向上することを期待したものである.一方,本研究で行ったレーザー照射はその出力を11 Wと低く抑えており,アルカリ溶液処理により予め形成させた- 73 -

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