FORM TECH REVIEWvol28
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レーザが発明され、人類は今、光を自在に操ることができるようになりました。物理的に広義に捉えると、このレーザ光を操作して対象物に何らかの変化をもたらすこと総てが「レーザプロセッシング」になります。天田財団の公益事業として、「レーザプロセッシングとは」の議論は常に行っております。現在のところ公募では対象を「金属等のレーザプロセッシング利用した加工に必要な技術に関する研究」としておりますが、「金属等」と「加工に必要な技術」に夫々注釈が付されており、前者には「金属のほかプラスチック、セラミックス、複合材料等の材料も含む。」、後者には「加工に間接的に影響を及ぼす技術も含む。」となっております。財団の発足時からの志の「モノづくり」の基盤強化支援の視点から、助成すべき研究開発課題の選定が重要ですが、財団としましては常に幅広い視野を持つように努めております。産業界や社会のニーズを明瞭に捉えたモノづくりはもちろん最も重要な課題と考えております。他方、確かなニーズは未だ無くとも、新しい科学技術やモノづくり産業の創出に繋がるイノベーションの芽を摘んでしまうようなことのないように慎重に議論を継続しています。基礎から応用までの路上に決して「レーザプロセッシング」の境界線を固定してしまうことはございませんので、関連研究に携わっておられる方は、ご自身の研究の現在、未来を問わず社会への貢献と可能性を示していただいて応募ください。天田財団の研究開発助成の成果は、毎年、助成期間終了後に「天田財団助成研究成果報告書」として出版されています。Vol.23(2010年発刊)からVol.30(2017年発刊)までの8年間に掲載されました140件のレーザプロセッシング分野の助成研究成果報告から選定し、それらの成果とともに最新の情報と進展をも合わせて『FORM TECH REVIEW』への論文の執筆を依頼いたしました。『FORM TECH REVIEW 2018』の発刊はレーザプロセッシング分野としては第4巻目になります。「各種レーザプロセッシングの現状と発展」と題しまして、3次元造形、表面構造形成、接合、割断、焼結膜形成、ピーニングを主題としたもの、また、材料としてはバイオインプラント、銅、マグネシウム合金、ダイヤモンド、鋼、アルミニウム合金などを対象とした、多種多用な研究開発を選定いたしました。表題の特集テーマにはこれらの論文だけで尽くされるものでは決してありませんが、レーザプロセッシングの多用性と可能性を読み取っていただけるものと考えます。読者各位には、本誌『FORM TECH REVIEW 2018』の論文に興味を持たれ、レーザプロセッシング分野の発展にご貢献いただくとともに、天田財団の研究助成に積極的に応募いただければ幸いでございます。- 64 -

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