FORM TECH REVIEWvol28
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削削除除ししなないいででくくだだささいい二酸化炭素排出による地球環境への負荷低減温対策として自動車の排出ガス削減が求められる中,車体の軽量化が積極的に進められている.車体軽量化には高張力鋼板やアルミニウム合金板など軽量化材料が適用されているが,普通鋼板と比較してスプリングバックが大きく,また成形性が低いことから金型開発に多大な時間を必要としている■■.自動車の車体を構成する板材のプレス成形部品は,われ,しわ,スプリングバックおよび面ひずみに代表される不具合が発生する場合がある.これらの不具合の発生事前予測は,金型開発及び製品開発の期間短縮に大きく貢献する.事前予測技術としては,有限要素法による成形シミュレーションが適用されている.成形シミュレーションの高精度化のためには,降伏関数等の高精度化が進められているが,成形性に影響を及ぼすと考えられる成形中の板材と金型間の摩擦に関する研究は,少ないのが現状である.自動車のパネル部品等のプレス成形時では,材料の引張速度は,300mm/sの高速に達する.その時は,板材と金型との間の摺動速度も同程度になると考えられる.そこで本研究では,300mm/s以上で素材が金型間を摺動する時の荷重を計測可能な,治具を開発する.摩擦計測試験は,高速でかつ一定速度で行われる必要があり,通常の引張試験機ではクロスヘッドの速度が最大で15mm/s程度なので,材料の引抜きの駆動力としてサーボプレスを活用する.高速でかつできるだけ定速で金型間を材料が引抜ける様な,治具を開発すると共に,金型材質,素材と金型との接触圧力および摺動速度を変化させた時の摩擦特性を検討したので報告する.現在活用が広がっているサーボプレスは,スライドの位置および速度制御を任意に設定可能で,かつ当然のことながらプレスの成形速度でスライドを駆動可能である.したがって,本研究における摩擦試験治具の駆動源としてサーボプレスは適していると言える.新規に摩擦試験方法を検討するにあたり,当該治具を,プレスのボルスタとスライドに汎用の固定工具で設置可能とすることにより,複数のメーカのサーボプレスに簡単に装着可能とした.試験治具は,荷重計測用のロードセル以外は,新規に設計した.写写真真位位置置■1.まえがき2.擦試験治具の設計*日本大学 生産工学部 機械工学科 教授 ■■治具設計における基本方針摩擦試験治具の開発において,駆動力の発生源として,治具の試験片を固定しているチャックの位置および速度共に精度良く制御可能なサーボプレスを使用することとしているので,当該プレスの仕様に適した治具の考案を行った.サーボプレスは,図1に示す, ■■■■■の能力を有する■■■■ ■ ■(アマダ製)を用いることとして,構造等を考案した.設計の基本方針を以下に示す.①指定した摺動速度で,摩擦試験が行える.②素材と金型との接触圧力を自由に設定可能とする.③素材に均等に金型から圧力が作用する.④金型の設置位置を容易に決められる.⑤試験片のセッティングを容易にする.⑥構造を簡素化して,製作費用を削減する. ■ 基本方針に対応した治具の設計サーボプレスに装着可能な摩擦試験治具を図 に示す.治具の高さは,適用したサーボプレスのスライドとボルスタ間の寸法を参考にして決定した.ダイハイトの異なるサーボプレスへの設置に関しては,本研究で使用したプレスより大なるダイハイトのプレスであれば適用が可能である.開発した試験治具をサーボプレスに装着した状態を図 に示す.図1摩擦試験に使用したサーボプレスS. Takahashi- 34 -プレス成形時の高速成形におけるプレス成形時の高速成形における摩擦特性計測摩擦特性計測高橋 進*高橋進Report

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