cos 図18フランジに働く力図20■摩擦係数-ストローク線図図19■熱間深絞り試験金型の概略図FvHμ 005noitcirf fo tneiciffeoCな摩擦成分力が働く.摩擦力の全周にわたる総計をFとし,分割面に直角な方向の力Fvは,摩擦係数µ,しわ押さえ力Hとするとき(2)式のように表される.Fvは分割されたブランクホルダ間に設置した2つのロードセルで測定しており,ブランクホルダとブランクホルダガイドのクリアランスは0.2mmとし摺動摩擦を低減させるために潤滑剤を塗布している.試験装置の概略図を図19に示す.しわ押え力(BHF)を負荷するサブジャッキとしてエアシリンダを用いた.最大時出力(1.96kN:空気圧1.0MPa/1機)であり,計8機配置し,最大出力は約15.7kNとなる.図19に示すようにしわ押え付与まではブランクホルダと試験片が触れ,急激な温度低下を抑えるためにピンにより支持している.加工速度は36mm/sとした.熱間深絞り試験機はパンチ径46mm, ダイス径50mm, ダイス肩半径10mm, パンチ肩半径7mmとした.プレス中の荷重と変位をロードセルと変位計にて測定し,加工後試験片の直径を計測する.熱間深絞り試験機の概略を図2に示す.試験片は板厚1.4mm, 直径80mm (絞り比α=1.6)の非めっきおよびAl-Siめっき22MnB5鋼板を用いた.試験はドライ条件で行い,しわ押え力は感度の変化を見るために3.1kN, 6.3kNの二種類で行った.(b)加熱条件2通りの加熱方法を用いた.1つは950℃に熱した加熱炉で試験片を加熱する.もう一方はスケールの成長を抑えるために加熱炉内であらかじめ予熱させた,直径100mm,厚さ10mmのステンレスプレート(SUS304)で挟み込んで加熱を行った.炉から取り出した7s後にガラス粉末をふりかけることで冷却中のスケールの成長を抑制10)させ,スケール厚さを測定した.スケール厚さは抑制あり,無しでそれぞれ5µm, 26µm程度であり,スケールの影響による摩擦係数の変化を観察することが出来る.いずれも240s保持し,試験片を炉から取り出した後8s以内に試験機にセットし加工を行い10s下死点保持する.搬送中の平均冷却速度は約22℃/sであり,試験は炉から取り出して7~8s程度で加工が開始されていることからおよそ800℃で加工が開始されている.0.80.60.40.2■■ 結果と考察図20に摩擦係数-ストローク線図を示す.摩擦係数が急激に増加し,ストロークが増加していくにつれ安定していくことがわかる.急激な増加は静止摩擦によるものと考えられる.ストローク10mm以降に摩擦係数が下がっているのは,試験片が加工中に分割方向が長軸となるような楕円形となり徐々に水平力が下がるためか,合力Fvが低下しているためだと考えられる.摩擦係数の変位が安定しているストローク5~10mmから摺動時の平均摩擦係数を求め,図5に示す.全体を通してAlめっき材に比べスケールがある場合に平均摩擦係数が低くでている.BHF3.1kNで酸化抑制を行った場合に平均摩擦係数がより低くなった.深絞り時のフランジ部のスケールが成形することで細かくなり潤滑効果が観察され,スケール厚さが薄くなるとより微細になり.効果的に潤滑剤として作用したと考えられる.また,BHF6.3kNでは摩擦係数の減少がBHF3.1kNに比べて早い段階から減少しており,表面状態の差が定性的ではあるが得ることが出来た.この理由は明らかではないが,半割ブランクホルダの傾くことによりロードセルによって計測される水平力が減少することが原因であると考えられる. (2)Uninhibited, 3.1[kN]Inhibited, 3.1[kN]Al-Si coated, 3.1[kN]10Stroke [mm]Uninhibited, 6.3[kN]Inhibited, 6.3[kN]Al-Si coated, 6.3[kN]1520- 26 -
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