FORM TECH REVIEWvol28
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(b) 圧縮荷重の影響 図9に圧縮荷重の違いによる摩擦係数の変化を示す.摩 5 i 00i 5 ■図9■■圧縮荷重と摩擦係数の関係■ (c) 試験片幅の影響 測定された摩擦係数は過去に著者ら1,2)が異なる装置および試験片寸法(幅20mm,板厚2.0mm)で測定した引抜速度10mm/s,で同程度の圧縮圧力の場合と比べて高い結果となった.工具の引抜方向長さと試験片の幅が4:3過去の1:1に比べて小さいことが起因していると考えられたため,板幅20mmでの試験を行った.図10 に面圧を約2.3MPaに揃えた時の引抜き距離と摩擦係数の関係を示す.図14より板幅を広くし,工具の平行部長さと同等にすることでmmnoitcirf fo tneciffeoC ,noitcirf fo tneciffeoc naeM ,noitcirf fo tneciffeoc naeM図8■引抜後の工具表面 引抜速度 図5■■摩擦係数と引抜き距離の関係 図6■■引抜き速度による摩擦係数の関係(2~27mm) 図7■摺動後の工具表面 5mm5mm- 23 -擦係数が一定になることが分かる.図7に引抜後の工具表面写真を示す.引抜速度10mm/s, 3mm/sともに表面にアルミめっき層が付着していることが確認された.光の当たり方により見え方が異なっているが,10mm/sの方がその付着量は多い.図8に引抜き後の試験片の表面写真を示す.いずれの速度においてもスクラッチ痕が確認され,掘り起し現象による摩擦の増加が摩擦係数の引抜き速度の依存の主たる原因ではなく,引抜き速度が遅いと工具-材料界面の温度が低下するため,アルミめっき層の接触界面での状態が異なるために摩擦係数が変化するのではないかと推測される. 引抜き方向1.00.80.60.4 3mm/s 10mm/s 20mm/s0.20.01.0Compression load 1.0 kN0.80.60.40.20.0Sliding distance /mmSliding speed /mm・s-1101520101520引抜き方向251.00.80.60.40.20.025 10mm/s 20mm/s0.51.0Compression load / kN引抜き方向1.5■■■■ 擦係数は引抜き距離2~26mmの摩擦係数の平均値である.この結果より圧縮荷重による摩擦係数の変化は少ないことが分かる. 摩擦係数低が下している.引抜き後のアルミめっきの工具への凝着幅が15mmと20mmで大きな違いがなかったことが確認されたことから,板幅が狭いと凝着の影響が大きく表われ摩擦係数が高くなると考えられる. (a) 10mm/s (b) 3mm/s (a) 3mm/s, (b) 10mm/s, (c) 20mm/s (a)(b)(c)

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